【学会誌】ガリウムプリカーサーの開発

こんにちは。
『表面技術』2023年3月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「原子層堆積用ガリウムプリカーサーの開発」で著者は㈱高純度化学研究所の水谷さんです。

内容

高純度化学で開発したALD(Atomic Layer Deposition)に用いられるガリウムプリカーサー材料についての解説です。プリカーサーは、成膜される材料の原料として供給される材料ですね。前駆体ともいうようです。

この記事は、酸化ガリウムGa2O3のALDに用いられるプリカーサーの材料に関する内容です。

Ga2O3のプリカーサーは、金属アミド、金属アルコキシド、β-自ケトン錯体、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)などがありますが、それぞれがどんな材料なのかは追いきれまないのでキーワードだけ並べました。

Ga2O3のALD成膜の課題として、不純物である炭素原子Cの混入を出来るだけ抑制したい、というものがあります。

従来のプリカーサーでは、炭素を含むため、新たにC混入の少ないプリカーサーとしてGaCp*という材料を開発したようです。

GaCp*にもC原子は含まれていますが、酸化インジウムのALD成膜でC混入がほとんどないと報告されているハーフサンドイッチ構造なのだそうです。

記事の中では、GaCp*の特徴やこれを用いて成膜されたGa2O3の膜質について、TMGやTEGと比較しながら解説されています。

ポイント

  • GaCp*をプリカーサーとして用いることで、C不純物をほとんど含まない無欠陥で均一なアモルファス膜を成膜することができた

  • 2種類の反応剤(H2O、O2ラジカル)を順に用いることで、分子量の大きなGaCp*でも、TMGやTEGと同等のエネルギーで酸化することが出来る

  • Ga2O3だけでなく、GaNにも適用できるので、材料の選択肢が広がる

ALDのプリカーサーの話は初めて読みましたが、有機金属は構造が複雑なのでイメージしにくいですね。記事の中ではGaCp*の分子構造のイメージが掲載されていますが、どこがサンドイッチなのか…というレベルです。

装置を使うだけなら材料毎の反応過程は理解しなくてもいいのかもしれませんが、プロセス開発の面ではもう少し理解していかないと、トライ&エラーでしか使えないですね。(今のところALDを使う予定はありませんが…)

CVDやALDの材料の話は、私の視界の中には入りにくいですが、機会があれば勉強していきたいと思います。

今日は以上です。

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