【学会誌】環境配慮型塗料
こんにちは。
『表面技術』2023年1月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったりやポイントだと思った部分をメモしておきたいと思います。
今回読んだ記事のタイトルは「環境配慮型塗料・塗装技術の最新動向」で著者は日本塗料工業会の児島さんです。
内容
環境配慮型塗料に関する解説です。日本塗料工業会(日塗工)の取り組みと、分野ごとに求められる基本的な要求事項、課題、最新技術についてまとめられています。
建築用塗料
鋼構造用水性塗料
高日射反射率塗料
粉体塗料
植物由来・バイオマス塗料
選定防汚塗料
塗装技術
ポイントメモ
2021年までの環境省の調査によると、揮発性有機化合物(VOC)の発生源として塗料が37%を占めている
建築用塗料
環境面・安全面の配慮から推計塗料への移行が進んでいるものの、まだまだ弱溶剤塗料が採用されるケースが多い
水系の課題は、作業性・塗膜性能の両立が必要だが背反する技術課題の克服が必要
カビや藻類の成長の抑制
抗菌・抗ウイルス
JIS規格に水系使用の追加が必要
鋼構造用水性塗料
日塗工の取り組みで、水性塗料の規格を作製・施行
水性塗料の使用は3%未満
防食性能の信頼、作業性、コストが課題
有機ジンクリッチペイントが期待されている
高日射反射率塗料
太陽光が当たる屋根や壁に塗装することで冷房効率を改善し、温暖化対策につながる
日射反射率および日射吸収率によって遮断性能が決まる
日塗工は日射性能の基準を策定
粉体塗料
塗着しなかった塗料を回収し再使用することが可能
厚膜塗装によって基材保護機能が発言しやすい
静電塗装法や流動浸漬法で塗装可能なので、塗装ラインがコンパクトになる
VOCをほぼ含有しない
近年ポリエステル/β-ヒドロキシアルキルアミド硬化系の樹脂が増えている。焼き付け温度の低温化が見込まれるため、二酸化炭素排出削減やエネルギーコスト削減が期待される。
硬化反応時に副生する水が厚膜塗装時の発泡の原因になりうる
植物由来・バイオマス塗料
(カーボンサイクルの考え方で)二酸化炭素を増加させない塗料
日本有機資源協会が認定する「バイオマスマーク」のある塗料は、バイオマスが10%以上含まれている
量産性に課題あり(コストに課題)
船底防汚塗料
1990年頃まで、有機スズを防汚材として含む自己研磨型船底防汚塗料が使用されていた。
生態への影響懸念があり、現在は有機スズを含まない加水分解型の塗料が主流
ただし、有機スズの性能は高い
自己研磨型は、海水と接した防汚剤が溶出することで表面素度を低下するため、燃費低減につながるため使用されている
船舶航行への抵抗に対する海水の摩擦抵抗の割合は、50~80%程度を占めるといわれている
塗装技術
トヨタがエアレス塗装という静電塗装機を開発した
従来技術では車体から跳ね返る空気によって塗装粒子が吹き替えされるため、塗装効率が60~70%だった
エアレス化することで、95%以上の塗装効率を達成している
粉体塗装では、デュアル電解方式による静電塗装方法で、塗装効率の向上・塗料使用量低減と塗膜の平滑性を両立することができた
従来技術に対して、最大10%向上
参考
有機ジンクリッチペイント
https://jlzda.gr.jp/mekki/pdf/201403ZRPHDG.pdf
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