【学会誌】電気化学バイオセンサの研究

こんにちは。
もう4月ですが、まだ『表面技術』2023年2月号を読んでいます。
読んだ記事について内容をメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「電極表面の機能分子の修飾による電気化学バイオセンサの開発」で著者は産総研の大崎さんです。

内容

著者の研究グループが開発中のバイオセンサについて紹介されています。

研究紹介および解説の内容なので、2,3言にまとめるのは出来なかったので、紹介されている3つのデバイスについてメモを書いておきたいと思います。

3つの共通点は電気化学反応を利用している点と印刷電極を用いている点ではないかと思います。

①金ナノ粒子を用いたバイオセンサ

電極表面の金ナノ粒子の酸化還元反応を利用したバイオセンサです。還元電流を測定することで、検出物質の濃度を評価します。

記事の中では唾液に含まれるイムノグロブリンAという免疫機能に関わる物質の濃度評価について記載されています。

②電気化学発光を利用したバイオセンサ

電気化学発光という現象を利用したバイオセンサです。記事の中では、ルミノールという物質と活性酸素の反応時に起こる発光を利用しています。

血中の活性酸素の濃度を測定結果の紹介と、電気化学発光を利用して糖化アルブミンという糖尿病に関連する物質の高感度測定を実現できたと書かれています。

③イオン選択性電解効果トランジスタを使ったバイオセンサ

唾液や血中の硝酸イオンを測定するためのバイオセンサにイオン選択性電界効果FETを利用した研究結果が紹介されています。

イオン選択性電界効果FETは、FETのゲート電極にイオン感応膜を成膜することで作成されます。ゲート電極付近のイオン濃度によって、ゲート電位が変化するので、FETに流れる電流値からイオン濃度を評価することが出来ます。

そもそも「血中や唾液の中に硝酸が含まれるのか?」という疑問がありますが、記事によると血中に一酸化窒素が硝酸イオンの状態で含まれていて、血管弛緩効果を持っているようです。例えば、ストレスがかかった時にめまいがしたり、顔が青ざめたりするときに増加するようです。つまり、血中の硝酸イオンを測ることでストレス状態を評価できるようです。

著者の研究の特徴は、イオン感応膜をポリウレタンで作製した点です。従来材料のPVC(Poly Vinyl Chloride)では測定後数百秒で測定結果が変化する現象がありましたが、ポリウレタンを使うことで1000秒以上経時変化の起こらないバイオセンサを作ることが出来たそうです。

このセンサは、実際のストレス状態の相関も確認できているようなので、ストレス評価の手法として普及する可能性もありそうですね。

今日は以上です。

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