【学会誌】高濃度オゾンを用いたALD

こんにちは。
『表面技術』2023年3月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったポイントをメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「高純度オゾンガスを用いたALDプロセスの特徴」で著者は明電ナノプロセス・イノベーション㈱の亀田さんです。

内容

80%以上の高濃度オゾンを用いたALDプロセス(以下、PO-ALD)とALD装置に関して解説されています。

従来のALDにおける酸化剤としてのオゾンは、酸素ガスをオゾナイザーに通すことで作られるオゾン(以下、オゾナイザー・オゾン)が用いられていたようです。
オゾナイザー・オゾンの場合、トレンチ構造などへの被覆性を上げるためにプロセス圧力をあげる必要がありましたが、高圧化に伴い平均自由行程が短くなってしまうため、トレンチ内の拡散が難しくなり、酸化源としての実効的な効果が小さくなってしまう課題がありました。

PO-ALDは、オゾナイザー・オゾンを用いたプロセスを改良する中で生まれた技術のようです。

PO-ALDのメリットとしては、以下の点が説明されています。

  • 低温成膜ができる(基材の選択肢が広がる)

  • 金属不純物を除去した高純度ガスを利用できる

  • オゾン寿命の向上

  • 酸素ガス使用量の大幅低減

ポイント

  • 水や酸素プラズマ(PE-ALD)を用いたALDに比べ、様々なメリットのあるPO-ALDプロセスを開発した

  • 量子化学計算を用いてPO-ALDの酸化反応機構を推測し、反応の障壁エネルギーの観点から低温成膜可能なメカニズムを考察した

  • 開発したPO-ALD装置は12インチ×25枚の同時処理が可能であり、(面積当たり成膜速度に換算すると)PE-ALDよりも高速な成膜を実現した

酸化反応機構の考察や、PO-ALDの装置に関してはかなり詳しく書かれていると感じました。ノウハウまでは書かれていないと思われますが、入り口としてはとても参考になりそうです。

今日は以上です。

参考

著者の所属されている企業は高純度オゾンを使った成膜等の表面処理プロセスおよび装置を開発しているようです。


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