【学会誌】マルチスケールなシミュレーション

こんにちは。
『表面技術』2023年12月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になったりやポイントだと思った部分をメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「風力発電機の軸受け・増速機の潤滑シミュレーション」で著者兵庫県立大学の鷲津さんです。

内容

固体間の摩擦や摩耗に関する分子シミュレーションをマクロスケールまで拡張する技術に関する解説です。

タイトルにあるように風力発電機などに応用することを想定されているようですが、読んだ感じはもっと基礎的な範囲の解析に関する内容なので、様々な用途に使えそうです。

ポイント

  • トライポロジーにおけるCAEを用いたシステム設計は、マクロスケールからのアプローチが大半で、分子レベルからの取り組みは少ない

  • 著者らは、分子レベルの個体間摩擦・摩耗に関するトライボシミュレーションの枠組みを、さらにメソスケールまで拡張し、マクロスケールとの接点を探り、機械部品の摺動面の長寿命化の予測を行うシミュレーション技術を提案した

  • 表面間相互作用や摺動側におけるモデリングでは、通常のSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法に対して、トムリンソン振動しなどを加えている。

    • これにより、固体間摩擦の特徴をミクロスケールで再現することに成功

  • モデルを弾性体に拡張し、接触点における発熱による男性から組成への状態変化をあらわす拡張を行うことで、固体間摩擦におけるフラッシュ温度の起源という、トライポロジーの根本的な課題をシミュレーションによって表現している

  • 単純な液体に分子サイズの異なる溶質を添加することにより高機能を発現する材料系(以下、マルチスケール流体)は大変多い。しかし、通常の全原子分子動力学ではスケールギャップのため扱えない。

  • 非極性高分子と極性高分子の流動状態からの構造変化を解析した毛kk

    • 高せん断においては、官能基間の相互作用よりも流体力学相互作用が大きいため、両者の構造の違いは見られない。

    • 低せん断では、官能基間の相互作用が支配的であるため、分子構造が異なる

  • 低せん断ではブラウン運動の影響が溶液全体に及んでおり、マルチスケール流体の特徴と言える

  • マテリアルインフォマティクス(MI)はソフトマターにおいては、分子計算が重いことや、系自体がプロセス由来の動的構造を有するため、実施困難。

  • 実験と分子シミュレーションを組み合わせることにより、ソフトマターでもMIが有効になりつつある

今日は以上です。

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