【学会誌】DLCコートで地熱発電の効率アップ

こんにちは。
『表面技術』2023年12月号を読んでいます。
読んだ記事について、気になった部分やポイントをメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「地熱発電ンシステムにおけるスケール付着抑制に向けたDiamond-Like Carbon(DLC)膜の活用」で著者は富士電機㈱の中島さんです。

内容

地熱発電は地中の熱水やその蒸気を用いてタービンを回して発電する技術ですが、地中の熱水に含まれる塩化物イオン等がタービンに付着して効率が低下してしまうことがあるようです。(付着したものをスケールという)

タービンにDLCコートを施して、スケール付着が抑制されるかどうかを検討されています。

ポイント

  • 地熱発電の普及拡大はCO2排出抑制の観点だけでなく、日本国内の電力需要の安定化にも資するもの

    • 太陽光発電に比べて、昼夜や天気に影響されにくいため

  • 地熱蒸気タービンの材料表面を改質することで、スケールに対して低付着な表面を創成することを目指している

  • 取り出した熱水を利用後に地下に還元することから地熱発電は再生可能エネルギーとして区分されている

  • 地下より得られる熱水(地熱流体)は塩化物イオンやシリカなど地下由来の不純物を多量に含んでいる

    • これら不純物が腐食やスケール体積の原因となり、地熱発電設備の長期運用や安定出力に対する問題が生じる

  • スケールは、鉄や硫黄、カルシウムシリカなど様々な成分により形成されるが、特にシリカによるスケールは堆積速度が速く、その除去が困難な場合がある

    • スケールの組成分析では、94%がシリカで構成されている例もある

  • シリカスケールの形成

    1. pH2もしくは8~10で反応速度係数が最大となりシリカが生成されやすい

    2. 塩基域では水酸基とケイ素の反応によりケイ酸イオンが生じる

    3. ケイ酸イオンとケイ酸のシラノール基が反応して-Si-O-Si-の結合が生じ、2量体となる

    4. 反応が繰り返され-Si-O-Si-が次々と生成されて高分子化し、シリカスケールを形成する

  • 水素含有DLC(a-C:H)と四面体秘書室炭素(ta-C)と呼ばれる水素を含まないDLCで比較しながら、シリカが付着しにくいDLCを探索

  • 弾性反張検出分析(ERDA)を用いて水素含有量の深さ方向分析を取得

  • 低sp2結合量、高水素含有量のDLCにおいてシリカの付着抑制の効果が大きかった

    • 実験結果から表面構造モデルを考案し、第一原理計算で検証した

    • 無欠陥(sp2結合が支配的)の場合は吸着エネルギーが小さく、ケイ酸イオンと表面との間に電荷共有がないことから、物理吸着が生じている

    • 結果が多数ある(sp2結合が少ない)場合は、吸着エネルギーが増加し、ケイ酸イオンと表面の間に電荷共有が所持ていることから化学吸着が生じている

  • 水素含有DLCの場合、sp2結合が少なくても、欠陥部分が水素で愁嘆されているのでシリカ吸着が少ないと考える

今日は以上です。

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