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ポリマー材と銅の密着技術

表面技術2021年6~8月では、3か月続けて「次世代高速通信と表面技術」を特集しています。
興味がある分野なので、1か月ずつどんな内容か見ていきたいと思います。

2021年6月の特集は、主にポリマー材への銅薄膜形成技術と銅箔接着技術を扱っています。

用途としては次世代高速通信ということで、イントロ部分は5G6G等の高周波において、従来技術ではどんな課題があるかを説明。主に以下の内容です。
 ・表皮効果による伝送損失の改善
 ・コストダウン

総論的な話を除くと、基本的には樹脂の表面改質によって銅との密着性を改善しようという取り組みが紹介されています。

表面改質2021年6月号記載の特集一覧 ※表作成:私

4つの特集を読んで感じたことです。

まず、表面改質というとプラズマのイメージですが、上2つはポリマーに対して紫外光を用いて化学的な効果を用いて、熱エネルギーを使って銅と密着させている点です。

おそらく、最初は銅とポリマーを熱で圧着することを考えていたと思います。従来のような表面が粗い材料ではアンカー効果が大きいのでこのやり方で作っています。

しかし、高速伝送に求められる高周波では、表面粗さが大きいと伝送損失が大きくなるという特徴があるので、表面は平滑にしたい=アンカー効果が小さくなるという難しさがあります。

そこで、化学的な力も使って密着を取ろうとしているようです。
この辺りは、最近の流れなきがします。特に、プラズマよりも(直感的に)ダメージが少ない紫外光を使うことで、できるだけ密着面をフラットにしたいという狙いがみえますね。

また、化学的な力を使う方法としては母材のポリマー側を弄る方法もありますが、製品ごとにチューニングするのは大変だし、スケールメリットが得られないんで高コストになりやすいのではないかと思います。
そういう意味では、光を使ったプロセスが良いのかもしれません。

下2つはプラズマを使っていますが、東洋鋼板という企業が入っていることを考えるとプラズマのほうが主流なのかなと感じました。
まぁ、この特集を見ただけで主流も何も判断できませんが、展示会ではプラズマを使った表面処理が圧倒的に多いように思います。割と小さい企業も導入しているところもありますね。

詳しいことは分かりませんが、プラズマのほうが導入しやすい部分があるのかもしれません。
もしくは、プラズマに投資してしまったから頑張って売り出そうとしているのか。
ただ、素人から見たら分かりやすいだけかもしれないですね。

妄想は色々できますが、これまでのプラズマ主流のイメージが変わってきているのを感じました。

今後、7月号8月号も見ていきたいと思います。

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