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バイスタンダーのケアを疎かにしてはいけない

目次

  1. バイスタンダーとは?

  2. 善意の裏にあるリスク

  3. 誰もが手を差し伸べられる社会へ

1.バイスタンダーとは?


バイスタンダー(Bystander)とは、特定の状況や事故、緊急事態などが発生した際に、その場に居合わせた人々を指します。バイスタンダーは直接的な関与者ではなく、目撃者や周囲の人々であることが多いです。

特に救命処置においては、バイスタンダーは心停止や怪我などの緊急事態に遭遇した際、助けを求める人の近くにいる人を指し、その人が初期の救命措置を行うことが期待されることがあります。例えば、心停止が発生した場合、バイスタンダーは心肺蘇生法(CPR)を行ったり、AED(自動体外式除細動器)を使用して救命措置を行うことが推奨されています。バイスタンダーの迅速な行動は、救急隊員が到着するまでの貴重な時間を稼ぎ、被害者の生存率を高めることに大きく貢献します。

2.善意の裏にあるリスク


人が倒れたところに遭遇した場合、必要に応じて心肺蘇生を行ったバイスタンダーを待ち受けるリスクについて皆さんはどれくらい知っていますか?

・自分がやった行為が正しかったのか?
・助からなかったらどうしよう
・周りの人たちが携帯をこちらに向けていて不安
このように、救命行為を実施したバイスタンダーは心身ともに大きなストレスにさらされることはあまり知られていません。

人の生死に関わる場面に遭遇するなんて、医療従事者でもなければ人生に1度あるかないかの確率です。その状況で見ず知らずの人の命を救おうとすることに、全くストレスがないはずがありません。

むしろ、これまで感じたことのないようなストレス反応が生じても不思議ではないのです。実際に、息が上がったり、体の震えがあったり、食欲がなくなったりといろんな反応が人それぞれに生じます。
ただし、それらはものすごく強いストレスに対処するための反応であり、通常は時間の経過とともに薄れていきます。
稀に、ストレス反応が長期化してしまう場合がありますが、その場合には専門医のケアが必要になります。

3.誰もが手を差し伸べられる社会へ


バイスタンダーを守る社会の実現に向けては、すでに動き出している自治体もあります。
ストレス反応についての正しい知識を得られる教育機会の創出、バイスタンダー相談窓口の確立、相談体制の周知などが全国的に拡充できれば、バイスタンダーに対する漠然とした不安を解消し、誰もが手を差し伸べられる存在になり得るのではないかと思います。

バイスタンダーとして心肺蘇生や応急手当を行っても、結果的に助けられないケースもあるでしょう。
その事実を知っているか否かで、ストレスの緩和にもつながります。
消防署や救命講習を開催している各団体においても、バイスタンダーを保護する視点でのプログラム編成が進むことを願います。

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