見出し画像

月刊プレイリストボーイ2024年5月号

【今月のプレイリスト】

1.五月病/キリンジ
季節の変わり目は自律神経が乱れるらしく、五月病の主な原因もそれらしい。春からどうも不調、胸に鬱陶しい圧迫を感じる。何かに夢中になっているとおさまるのだが…医者に言わせれば、それは「心身症」と呼ぶらしく、やはり季節と自律神経に起因すると。じゃあ6月には治るかな…キリンジデビュー当時のヤスくんには、仄かにURCっぽい風情があったが、この曲はその代表格。

2.Ohio/
クロスビー,スティルス,ナッシュ&ヤング

学生が反戦デモを起こして警察と衝突するなんてのは、自分にとっては70年代までの逸話のようなもので、まさか今の時代になってアメリカ名門大学の学生たちが、あのような蜂起に及ぶとは夢にも思っていなかった。オレが彼らと同じ歳の頃、ニール・ヤングのこの曲に出会い、カッコいいへヴィロックに酔っていた。これがかつてオハイオ州の大学で、米軍のカンボジア侵攻とベトナム戦争に反対した学生が弾圧により射殺された歌だとも知らずに。

3.ずる休み/台風クラブ
「祝・春一番2024」初日の5月3日。初出場の台風クラブのステージは、音響がうまく行ってないようで、歌がほとんど聞こえなかった。それでもトリオが放つ粗暴なアンサンブルと、ややイラついてるっぽいイシヅカの立ち居振舞いは、誰よりもRockだった。

4.The Stone/小谷美紗子
こちらも「祝・春一番2024」から。社会派メッセージソングを好むオジサンたちに迎合せず、今日はラブソングばっかり歌いますと宣言してからのこの曲。世界一切なくて辛辣なラブソング。

5.papa/プリンス
父親による虐待を歌った歌。「smac!smac!」と、それに合わせたドラムのビートは何度聞いてもビクッとさせられる。プリンスのシャウトは、時に痛い。 DVや虐待の実態とまともに向き合ったならば、離婚後の共同親権があんなにアッサリ可決される筈はない。

6.いけしゃあしゃあ/在日ファンク
funkらしからぬハマケンの澄んだ声が新鮮だった。この曲を聞いて「いけしゃあしゃあ 真顔で嘘つく 自◯党」という五・七・五が瞬で浮かんだ。人々を守る法案はなおざりで決める癖に、自分らのゆるみ切った銭勘定への規制はゼロ回答。話にならん。たいがいにせーや。

7.Monkey See-Monkey Do/
マイケル・フランクス

バブリーな時代に台頭したこともあり、「smooth jazz」というと軽薄で俗っぽいイメージを抱きがちだったが、こういうプレイを聞くとAOR以降の洋楽概念はデヴィッド・サンボーンのサックスに裏付けられているよなと、あらためて思った。R.I.P.

8.Jamming(Live)/
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ

カールトン・バレットのドラミングこそがレゲエだぜぇー!ってことを再確認させられるような曲。映画「ボブ・マーリー ONE LOVE」については、こちらをお読みいただけますと幸甚です。

9.See Of Love/ザ・ハニードリッパーズ
今月観に行ったAZUMIさんのLiveでカバーされていた。この曲を知ったのはアル・パチーノとエレン・バーキンが出ている同名タイトルの映画だった。このバージョンを聞いた時、ロバート・プラントがこんなコテコテのオールディーズロッカバラードを歌うことに驚いたが、後にハニードリッパーズのバンドメンバーを知ったらもっと驚いた。

10.Wasser/
ブライアン・イーノ、ホルガー・シューカイ、J・ペーター・シュヴァルム

今月リリースされたレアなライブ音源。98年にドイツの美術館にて開催された展覧会のなかで行われたライブで、すべて即興演奏らしい。ビ・バップ的な感覚でアンビエント/ノイズをやるとこうなるのかという感じ。安易な〈癒し〉などではないが、音楽なんか聞きたくないやって時に聞きたい音楽。これで自律神経が整うかどうかはわからんが、胸の圧迫感が治りますように…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?