[MTGA]ゴブリン概論[ヒストリック]

あいさつ

お久しぶりです。adverです。日本選手権2020冬で4位の成績を収め、ファイナルへの参加権を手に入れることができました。ヒストリックという比較的未開のフォーマットで開催された冬の大会ですが、ヒストリックという魔境、及び自身の使用したデッキについて忘れないように書き残したいと思います。


ゴブリンについて

ゴブリンは「上流階級のゴブリン、マクサス」という一枚コンボを内蔵したミットレンジ兼コンボデッキです。主な勝ち方は以下の3つです。

1.マクサスが場に出て勝ってしまう。
2.群衆の親分、クレンコが生き残ってしまう。
3.ゴミビート。

相手のデッキの速さ及び自分の手札に合わせてプランを決める必要があります。
正直3はほとんど発生しないです。相手が土地事故を起こしてしまったか、オールインのコンボデッキ相手に狙わざるをえない場合のみの、不可抗力です。

デッキリスト

アリーナでコピーできると思います。

4 スカークの探鉱者 (DAR) 144
17 山 (GRN) 263
1 ゴブリンの損壊名手 (M19) 144
4 エンバレス城 (ELD) 239
4 人目を引く詮索者 (M21) 139
3 ゴブリンの戦長 (DAR) 130
4 ゴブリンの女看守 (MH1) 129
4 ゴブリンの酋長 (JMP) 324
4 群衆の親分、クレンコ (JMP) 339
4 上流階級のゴブリン、マクサス (JMP) 24
4 ずる賢いゴブリン (XLN) 174
2 ファイレクシアの塔 (JMP) 493
3 紋章旗 (ELD) 222
2 髑髏砕きの一撃 (ZNR) 161

サイドボード
2 ゴブリンの首謀者 (M20) 143
4 削剥 (AKR) 136
3 アイレンクラッグの妙技 (ELD) 127
2 通報の角笛 (JMP) 469
3 虚空の力線 (M20) 107
1 ゴブリンの鎖回し (DAR) 129

カード選択

スカークの炭鉱者(3~4枚)
単体で一番弱いカードです。1/1/1だから当たり前ですが。
2枚目を引くと実質マリガンハンドになるので理想は3枚採用に抑えたいですが、ゴブリンミラー及びゴブリンが苦手とする自分より早いデッキに対して、要するにマクサス早期着地を狙うしかないマッチにおいて非常に重要なため4枚採用せざるをえないというカードです。

ずる賢いゴブリン(4)
弱いカードです。2/1/1だから当たり前ですが。
2ターン目に後のマクサス早期着地への布石を打つことができる点以外は取柄がありません。ファイレクシアの塔があるためギリギリ採用できるカードです。

人目を引く詮索者(4?)
弱いカードです。2/2/2の熊だから当たり前ですが。
2マナのカードなのに実質ドローをできるポテンシャルがあります。しかし一部のマッチアップ(スゥルタイくらい遅いデッキ)でしか頼ることはありません。また、そういったマッチアップでもサイド後はクレンコと一緒に「墓堀りの檻」で対策されてしまうため、本来活躍してほしいサイド後の遅い展開に限って役に立たないことが多いカードです。10マッチに1回はデッキトップがクレンコで試合が壊れます。

ゴブリンの戦長(3~4)
弱いカードです。3/2/2なのに速攻しか付与することができません。マナ軽減効果も不特定マナしか軽減しないため、複数引いても恩恵が非常に薄いです。それでもマクサスでめくる必要があるため3枚採用しています。3ターン目に出すとマクサスの早期着地及び、クレンコによる試合破壊が狙えます。正直4枚採用もありです。

ゴブリンの酋長(4)
悪くないカードです。クレンコとの2枚コンボでゲームを終わらせることができる他、ゴミビートプランにも強く貢献します。「ゴブリンの戦長」のいずれか1枚がキープできると心強いです。

ゴブリンの女看守(4)
最強のカードです。ゴブリンデッキが成立している要因その1です。マクサスが実質8枚入っていることと同義であるためこのミットレンジもどきのコンボデッキが成立しています。「ファイレクシアの塔」の生贄にも使えるため余すところがないです。サイド後に1枚刺しのゴブリンを持ってくることもできます。「ゴブリンの首謀者」はよくもってきます。

群衆の親分、クレンコ(4)
最強のカードです。ゴブリンデッキが成立している要因その2です。ゴブリンデッキ=マクサスという印象の人が多いかもしれませんが、クレンコのパワーがないとこのデッキは絶対に成立しません。絶対に4枚入れてください。生き残れば地上の遅延はできるため、「鉄葉のチャンピオン」、「探索する獣」、「エンバレスの宝剣」、「騒乱の落とし子」、「オーラデッキの飛行付与」以外の殴り合いには強いです。

上流階級のゴブリン、マクサス(4)
最強のカードです。ヒストリックでしか生きられない悲しいカード。他のゴブリンの介護を得て、最速で通すか、あるいは打消しやリセットを打たせたスキに通すか判断が問われるカードです。10マッチに一回は誰もでてきません。10回に6回は出すとそのターン中に勝てます。絶対に勝てないボードをまくり返す力があります。

以下自由枠

ゴブリンの損壊名手(1)
強力なカードです。打点の向上とゲームを決めうるアーティファクトの破壊を同時にこなすことができます。Ex)「墓堀の檻」「エンバレスの宝剣」
このカードのおかげで拾った試合が2試合はあるのでサイドに下すことは私にはできません。メインに採用していなくても間違いなくサイドに採用したほうがいいです。

紋章旗(3)
まだわからないカードです。試したの2日前なので。マクサス早期着地のためのマナ加速、貧弱な低コストゴブリンたちの打点向上、マクサス着地後の早期決着確率向上などを期待して採用しました。置いたターンに赤マナが出るため、出したターンに1,2マナのゴブリンを続けて唱えることができる可能性がある点が「精神石」より優れている点かもしれないです。また一部のゴブリンのパワーが3になることでニッサが作る3/3警戒に殴り負ける可能性を減らすことができると信じています。

土地
合計25枚
スクリューがとにかく怖いデッキです。マクサス2枚抱えて土地4枚で止まり敗北などは日常です。土地24枚は怖くてできません。26枚も検討できます。

エンバレス城(2~4)
最強のカードです。ゴブリンはだいたいパワーが1なので起動すると打点が実質倍になります。4枚にしてもタップインに困ることはないです。タップインに困る=スクリューしてる=そもそも負けなのでそんなハンドキープしてはいけません。

髑髏砕きの一撃(2)
よくわからないカードです。一応このカードのおかげで勝ったこともありますが、3点払うアンタップインが不利マッチで響くのでは?とかスクリューをハンデスでとがめられるのでは?とか疑問が尽きません。4枚採用はないとは思うのですが0枚採用も寂しい気がするカードです。タフ2を焼くのにすら4マナかかるのでテンポロスは尋常ではありません。潜在的ローリスクとローリターンをはらんだカードです。

ファイレクシアの塔(1~3)
最強のカードです。マクサスの着地ターンをずらすことができる最強の0マナマナ加速です。2枚目を引くとほとんど死に札なのが非常に痛いですがミラーや不利マッチのことを考えるとそれでも2枚は採用したいカードです。私は3枚採用する勇気はありません。

サイドボード
ほとんど固定枠
ゴブリンの首謀者(2)
強いカードです。cipでアドバンテージを獲得できる(かもしれない)点が唯一無二です。PWや置物にはない明確な利点です。また伝説の呪文ではありません。「墓堀の檻」を貫通してアドバンテージを獲得できます。一方で赤いという点、4マナである点が弱点です。

削剥(3~4)
強いカードです。不利マッチではほとんど全部投入するので変なマナ加速より「削剥」をメインに入れたほうが良いという説もあります。檻を割るためだけにいれると持て余すので、アグロがついでに入れてくる檻を割れるかもくらいの気持ちで使います。

アイレンクラッグの妙技(2~3)
ムラがすごいカードです。このデッキ自体のムラがすごいから気にしてはいけません。マクサスと合わせて2枚コンボと言い張ることが主な用途です。相手が平均的に4ターンでゲームを終わらせてくる場合使わざるを得ないカードです。最も相性差が激しいサクリファイスは「思考囲い」を打ってくるためこのプランがうまくいかないのでこれがベストサイドではない可能性があります。

通報の角笛(2~4)
強いカードです。マクサスの同期。マナ加速と継続的(?)ドローを一枚でこなします。無色である点、3マナである点が非常に優れています。重ねて引くと悲しくなる点、4枚入れなくてもスゥルタイに有利な点、非ゴブリンカードをあまり採用できない点から2枚の採用にしました。枚数は好みです。

自由枠

虚空の力線(3)
よくわからないカードです。ラクドスアルカニストが厳しすぎたので採用しました。また、最近パラドックスが活躍していたため採用できました。「魂標ランタン」との比較は一概にできません。「沈黙の墓石」という選択肢もあります。ウーロ相手には入れません。

ゴブリンの鎖回し
相棒

採用を検討できるカード

メイン

精神石
マナ加速兼フラッド受け。マクサスを引ければ勝てるため1ドローが重いと考えれば悪くないはずです。2ターン目に出しても強いアクションがない点が非常に残念。使うならチャンドラとセットだと思います。

反逆の先導者チャンドラ
強力なPW。マクサスの早期着地にも貢献できる。アドバンテージを稼ぐことができる(かもしれない)。除去もできる。
ゴブリンはPWを守ることが非常に苦手なため、出したターンにアドバンテージを得られない。アドバンテージを得る置物なのに赤い、伝説、4マナ、ニッサに殴られて破壊される。2点飛ばす意味がほとんどない。マナ加速をするのにラグがある(チャンドラを出したターンにマクサスを出せない)。除去をすると4マナ4点のソーサリーになる。以上の器用貧乏であるという短所ばかり目についてしまったため不採用。

アイレンクラッグの妙技
不利マッチ用のコンボカード。入れると「思考囲い」が入っているデッキへの耐性が下がります。ようするにメインに入れると環境に最も多いスゥルタイに不利になります。

サイド
神々の憤怒(嵐の怒り)
自分より早いデッキがどうしようもないため。「ずる賢いゴブリン」や「ゴブリンの女看守」などでチャンプブロックをして時間を稼いでからリセット打つのは実は理にかなっていると思います。4点だとグルールや騒乱の歓楽者、脱出した「悲哀の徘徊者」なども焼けます。

領事の旗艦、スカイソブリン
「波乱の悪魔」が憎いため恒久的に使える3点火力として。ゴブリンでは搭乗できないため再利用が難しいです。「紋章旗」とあわせてないため、再考の価値ありか。

異形化するワンド
「波乱の悪魔」を恒久的に除去できる。オーラに強い。さすがに気のせいか。

権威の殿堂
3マナ起動1コストのタッパー。オーラ用。さすがに気のせい。

魔術遠眼鏡
ニッサを止めたい。青白コントロールにも入れれる。悪手ではない。枠がなかったです。

アクロス戦争
オーラやビートに強いはず。どうせ入れるなら全除去のほうが強そうです。

目覚めた猛火、チャンドラ
青白コントロールに強く、ラクドスサクリファイスに対してマイナスした後残る脅威。

削剥以外の軽量除去
追放と4点を同時に満たす「溶岩コイル」がおすすめ

ゴブリンのクレーター堀り
アーティファクト破壊とアグロの軽量クロックへの干渉。枠を割くには効果が薄い。

宝石の手の焼却者
キャントリップ付きの除去。理論上。除去として機能するほどゴブリンが並んでいるならそもそも勝っています。女看守からサーチできる点のみ優れています。

色のタッチについて
重ねて記述しているが不利マッチはゴブリンより早いデッキになります。ビートがゴブリンに刺せるカードはありますがex)「墓堀の檻」「暴れまわるフェロキドン」「魔女の復讐」
ゴブリンがビートに対してさせるカードは別の色にもないと思います。したがって必要ないと考えます。

番外:鎮まらぬ大地、ヤシャーン
本当にサクリファイスが憎いならこれしかないかもしれないです。リスト公開制のサイド後では効果が薄いと判断して不採用です。

1月14日追記

サイドボード候補について

発火の力戦
紹介し忘れていました。VSサクリファイス用のカードだと思われるのですが、試したことはありません。サクリファイス相手にライフレースを挑むのは無謀だと考えています。

鎮まらぬ大地、ヤシャーン
試しました。諦めました。オンラインの大会はデッキリスト公開制であるため、メインデッキに3枚投入して検証しました。同時に、「ずる賢いゴブリン」や「人目を引く詮索者」を「楽園のドルイド」などに変更して、色が問題なく出るようにしました。ゴブリンの爆発力が著しく低下し、エンバレス城の採用も困難となり、なによりサクリファイス以外には4/4/4バニラなのはヒストリックという魔境において許されるものではありませんでした。

豊潤の声、シャライ
試しました。ギリギリアウトくらいでした。「思考囲い」を無力化。「初子さらい」を無力化。タフネスが4あるため、赤い除去1枚では落ちない。ニッサの3/3土地を一方的に打ちとることができる。ゴブリンたちはもちろん自分の顔もサクリファイス特有のびっくりリーサルから守ってくれる。このようにスルタイミットレンジやサクリファイスに対して優れた耐性をもたらすカードだと考え、3枚入れて試しました。
サクリファイスとは1度しかマッチングしていないのですが予想通り時間稼ぎにはなってくれました。
逆にいうと時間稼ぎにしかならなかったため、劇的なアンチカードとはなりませんでした。エンバレス城のタップインのリスクを背負ってまで採用する勝ちがあるかは微妙です。

傑士の神、レーディン//守護者の盾、ヴァルクミラ
なんで更新したかというと、このカードを見たときにヒストリックに刺さっていると感じたからです。これはサクリファイスにもスルタイミットレンジにも、その他雑多なデッキに刺さると思います。クリーチャーの面はPWやリセット呪文のキャストを遅延し、単純に単体除去を打たせて相手のテンポを奪う役割でも十分です。また、アーティファクトの面はアーティファクトである点に目をつぶれば「波乱の悪魔」を一枚で完封する最強のアンチカードです。
シャライやヤシャーンを検討しているときに「ヘクマの防御」ってダメージ軽減だったか…波乱の悪魔に勝てるなと思ってたら自分の顔しか守らなくてキレそうになったので、この新しい神はゴブリンを新しいステージに連れていくと信じています。
ヒストリックフォーマットで遊ぶかわからないけど。


サイドボードガイド

スゥルタイミットレンジ/4cミットレンジ

微有利~五分
IN:ゴブリンの首謀者×2 通報の角笛×2OUT:ずる賢いゴブリン×4相手がどれだけゴブリンを意識している構築なのかで相性が変わります。トップマクサスで全てを解決できるため諦めてはいけないです。

ラクドスサクリファイス

不利
IN:削剥×4
OUT:人目を引く詮索者×4
きつい。まだ改善しなくてはいけない。妙技をいれてもいいかもしれない。特に後手は。

ジャンドサクリファイス

中隊無し/有り:微不利/不利
IN:削剥×4
OUT:人目を引く詮索者×4
きつい。まだ改善しなくてはいけない。妙技をいれてもいいかもしれない。特に後手は。
2種類は間違いなく異なるデッキだが、私は「波乱の悪魔」が出やすいかでしかものさしを測れないため同項に記載しました。

ミラー//アグロ

先手有利後手不利
IN:削剥×4(2~3) アイレンクラッグの妙技×3 (ミラー:ゴブリンの鎖回し×1)
OUT:人目を引く詮索者×4 紋章旗×3 (ミラー:ゴブリンの損壊名手)
妙技を3枚にすることで相性は改善されています。削剥は相手のクロックのタフネスで入れる枚数を判断してください。グルールの「暴れまわるフェロキドン」が辛すぎます。

青白コントロール

微有利
IN:ゴブリンの首謀者×2 通報の角笛×2
OUT:ずる賢いゴブリン×4
相手がどれだけゴブリンを意識している構築なのかで相性が変わります。
トップマクサスで全てを解決できるため諦めてはいけないです。スゥルタイと比べるとリセットの返しにマクサスが通りやすいです。

ラクドスアルカニスト

不利
IN:虚空の力戦×3 削剥×2(3,4)
OUT:人目を引く詮索者×4 紋章旗×1(2,3)
きついです。サクリファイスと異なる点はこちらのサイドがささるという点です。

オーラ

先手五分後手微不利
IN:削剥×4 アイレンクラッグの妙技×3
OUT:人目を引く詮索者×4 紋章旗×3
「静寂をもたらす者」などヘイトベアーが入っている印象。

ネオストーム

不利
IN:アイレンクラッグの妙技×3 削剥×1(2)
OUT:人目を引く詮索者×4 (紋章旗×1)
きついです。「花の壁」さえなければかなり楽なのですが。

パラドックスストーム

有利
IN:削剥×4 虚空の力戦×3
OUT:人目を引く詮索者×4 紋章旗×3
サイドがすごいささるので楽です。

プレイング

・先手の土地2枚ハンドはマリガンしたほうがいいです。マクサスとマナ加速が2枚(片割れに炭鉱者を含んでもよい)のハンドじゃないとたいてい土地が詰まって後悔することになります。逆に後手は土地が2枚でもマナ加速が1枚(炭鉱者は含まない)あればキープすることが多いです。
土地が5枚でもキープすることが多いです。相手が自分より早いならマリガンする場合もあります。
マリガン後は炭鉱者を戻すことが多いです。先手でマクサスの早期着地が狙えるなら別です。
・スゥルタイ相手の先手2ターン目「通報の角笛」は最強なので炭鉱者を犠牲にしてもおつりが来ます。


終わりと私信
運ゲが嫌いではない人はぜひゴブリンを握ってみてください。
ゴブリンについて聞きたいことができた読者の人はTwitterで聞いてください。2020年の間は勘が鈍らず回答できると思います。
競技的なmtgのコミュニティに参加したいなと思いながら(そんなもの存在するのか?)、アリーナ以外遊ぶつもりがないので自分から探したりはしない日々を送っています。
ゴブリンに感謝をこめてクレンコがジェネラルのデッキを組もうと思います。
また鎖回しのおかげで夢をみることができました。ありがとう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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