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教員のためのSlack超入門【学級閉鎖対策】

冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

さて、先日、「学級閉鎖になったらZoomというテレビ会議システムで授業の代わりができる」と書きました。でも、学校のように同じ場所にいるわけでなければ、連絡事項などは文字で知らせれば十分です。わざわざ同じ時間に顔を合わせて伝える必要はありませんよね。

また、読んだり書いたりする勉強は自分で静かにやりたい場合もあるでしょう。

教員にとっては、生徒や児童だけではなく、同僚の教師や、保護者等との連絡もわざわざZoomを使う必要はありません。と言うより、Zoomを使うには時間を合わせたり、Zoomのリンクを送ったりという連絡が必要になります。

そういった時に便利なのは、「ビジネスチャット」という種類のサービスです。僕はSlackというサービスを中心に使っていますが、日本ではチャットワークスというサービスも人気があるようですね。ビジネスチャットは文字を中心にしたコミニケーションですから、Zoomのように時間を合わせる必要がありません。

それで今日は、新型肺炎による学級閉鎖に備えて、Slackをどのように使うかを、ビジネスチャットを使ったことがない人向けに書いてみたいと思います。

【3つの概念】

Slackにはいろいろな機能がありますが、3つの概念を区別しておけばすぐに使い始めることができます。その3つの概念とは以下の通りです。

1.Slack
2.ワークスペース
3.チャンネル

最初の「Slack」と言うのは、前にも書きましたがビジネスチャットという種類のサービスの中の1つです。オンラインサービスの名前なので、例えばLINEとかFacebookとかTwitterとかそういったものと同じ並びだと思えば良いでしょう。

次の「ワークスペース」というのは、特定の人たちが集まって使うコミニケーションの場所の名前です。学校単位で1つのワークスペースを作ることもあるかもしれませんし、1人の教師が1つのクラスを単位とするワークスペースを作ることがあるかもしれません。要するに1つのグループで1つのワークスペースということになります。

Facebookを使ったことがある人なら、Facebookグループをご存じでしょう。ワークスペースはこれにかなり似ています。ただ、Facebookのグループと大きく違うところは、Slackのワークスペースは、Slackの中で完全に独立していて、例えば皆さんの同僚が他にどんなワークスペースに入っているかなどを知ることができません。Facebookの場合は、同じグループに入っているメンバーが、他のどんなグループに入っているかを見ることができます。(そうした情報の共有範囲の設定にもよりますが)

ですので、Facebook等と違って、Slackはプライベートと仕事を分けてコミニケーションをするのにも向いています。つまり、学校のSlackにログインしているときに、遊び友達からのメッセージが入ってきたりすることはないわけです。教育機関で使う場合には、生徒や児童の気が散ってしまうことを防ぐ効果もあるでしょう。

3番目の「チャンネル」という概念は、ワークスペースの中に作れる小部屋のようなものです。チャンネルの設定について考える時間がなくても、最初から「#General」というチャンネルと、「#Random」というチャンネルが準備されています。#Generalは公式な情報を載せたり、話し合ったりするところで、#Randomのほうはそれ以外ということになっています。よくわからない場合や時間がない場合は、新しくチャンネルを作る必要はないでしょう。これだけでも十分に学級閉鎖に備えることができます。

それでは、実際に学級閉鎖になってしまったとして、教員はどのように対応し、Slackをどのように使えばいいのでしょうか。ここでは学級単位でワークスペースを開設する場合と、学校単位でワークスペースを開設する場合に分けて考えてみたいと思います。

【学級単位で開設する場合】

まずは学級単位でワークスペースを開設する場合です。

開設するのはそれほど難しくありません。Slackのホームページに行って、そこでワークスペースの名前を決めて、ご自分のメールアドレスを入力すると、そのメールアドレスに6桁の確認コードが送られてきますから、そのコードをSlackのホームページで入力するだけです。

心配な人は以下のビデオをご覧ください。

Slack(スラック)の使い方① ~登録・ワークスペースの作成~ - YouTube

ここで「ワークスペースの名前を決める」と書きましたが、学級単位で解説する場合は学校名とクラス名でいいでしょう。「城山中学校3年2組」のような名前が分かりやすいと思います。

Facebookでは、秘密グループに設定しない限り、こうしたグループ名を設定すると、そのグループの存在を誰もが知ることができます。しかし先ほども申し上げましたように、Slackの場合はSlack内でのワークスペースは非常に独立していて、Slack全体でワークスペースを検索するような機能はありませんから、特に心配する必要はないと思います。

そしてこの画面で、参加者を招待するためのリンクを取得することができます。参加者のメールアドレスを全員知っていればそのメールアドレスを入力して一人一人招待状を送ることもできますが、非常事態でそのような余裕がない場合は、このリンクアドレスを保護者か児童生徒の本人に共有すればいいでしょう。こうした電子情報を共有するには、ちょっと前のブログで書きましたが、学級閉鎖が起きてしまう前に、一方的に情報を掲示するだけのGoogleドキュメントを作っておくといいです。5分でできますので以下のリンクを開いてみてください。

「むらログ: 感染爆発による学級閉鎖にそなえよう」
http://mongolia.seesaa.net/article/473309748.html

これだけでももう最低限のコミニケーションは取れるようになります。チャットなので、「今から授業するよ」などのような1行程度のコミニケーションを迅速に行うことができるようになります。

小学校ならもうこれで完璧だと思うのですが、中学校の場合はそれぞれの科目の教員も参加する必要がありますので、もし余裕があればチャンネルを科目ごとに設定するといいと思います。

例えば「#英語1」「#数学1」というようなチャンネルです。

こうしておくことのメリットは、例えば英語の先生なら、数学や生物などの他の科目の指示や宿題の提出等の情報を見ないで済むようになることです。

複数のチャンネルがある場合、自分に関係のないチャンネルについては参加する必要がありませんから、関係のない情報に自分の必要な情報が埋もれてしまうことがなくなるわけです。

そしてもちろん、このように他の科目の先生にも入ってもらう場合は、先ほどご紹介した招待用のリンクをそれらの先生にも共有する必要があります。

おそらく学校の先生同士だったら、メールアドレスなどもご存じでしょうし、Slack内部で個別にやり取りする必要はないかもしれませんが、もし必要なら、ダイレクトメールを送る機能もあります。また、音声通話やテレビ電話もSlackで行うことができます。

これだけやっておけば、もう学校でやっている普通のコミニケーションがもっと効率よくオンライン上で取れるようになるでしょう。

ここまでは学級単位でSlackのワークスペースを開設する方法について書いてきました。それでは、学校単位でワークスペースを開設する場合にはどのようにすればいいでしょうか。

【学校単位のワークスペース】

基本的には上の学級単位のワークスペースと同じなのですが、2つほど注意したほうがいいことがあります。

1つ目はチャンネル名です。先ほど学級単位でワークスペースを開設する場合は、「チャンネル名を科目名にすればいい」と書きました。今回は複数のクラスが1つのワークスペースに参加することになりますから、それでは同じ科目を勉強している複数のクラスの情報が混在してしまいます。

それを防ぐには、チャンネル名にクラス名と科目名を入れると良いでしょう。例えば3年A組の英語1のチャンネルだったら「#3A英語1」というチャンネルにするのです。

オンライン上ではない普通の学校でも、教室と時間割によって、それぞれのクラスのそれぞれの科目が独立していますよね。Slackではチャンネル名にクラス名と科目名を併記することで、これと同じことが実現できるわけです。

さて、クラス単位ではなく学校単位でSlackのワークスペースを開設するときは、もう1つだけ注意しておくことがあります。それは「#職員室」というプライベートチャンネルを作っておくことです。

ワークスペースの中にチャンネルを開設する時、普通は他の誰もが参加しようと思えば参加できるチャンネルに設定されています。しかし、プライベートチャンネルを作ると、そのチャンネルに参加している人以外はそのチャンネルに参加することができませんし、そもそもそのプライベートチャンネルが存在すること自体気がつくことができません。

なぜ職員室チャンネルをプライベートチャンネルに設定しなければいけないかというと、職員室では、試験に関する話し合いなど、やはり児童や生徒とは共有できない話題も出てくるからです。

さて、ここまで学級閉鎖に備えてSlackを開設する時の留意点について書いて参りました。小学校の低学年位だとまだちょっと難しいだろうとは思いますが、少なくとも中学生ぐらいでしたら、SlackとZoomの両方を使えば、学級閉鎖になっても何の心配もいらないと思っていいのではないかと思います。

繰り返しますが、このような代替手段があることは、必要な時に躊躇なく学級閉鎖という判断をするためには必要です。全国の先生方がこのような対応をしておけば、それはパンデミックが起きたときに必ず誰かの命を救うことになるでしょう。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
むらログ: 感染爆発による学級閉鎖にそなえよう
http://mongolia.seesaa.net/article/473309748.html

むらログ: オンラインで作文の添削をしましょう【学級閉鎖対策】
http://mongolia.seesaa.net/article/473350406.html

むらログ: 学級閉鎖対策としての初心者のためのZoom入門
http://mongolia.seesaa.net/article/473333238.html


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