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31歳で教習所にて理不尽を味わった話

「だから女は運転が下手なんだよ」

そう言って、高齢者講習に来ていた白髪かりゆしウェアおじさんはガハハっと笑いながら教習車の前から退いた。

私は駐車場へ向かう彼の背中を、目線だけで見送った。


4月某日

通っている自動車教習所(沖縄では自動車練習場を略して“自練”と呼ぶ)にて、やっと予約の取れた8回目の実技講習を受けようと、教習車の後方で教官を待っていた時のことだ。

同所内で行われた高齢者講習を受け終えたであろう方々が、ぞろぞろとお客様用駐車場へと向かっていく。

さっさと自分の自動車へ乗り込む方、教官へ質問をしている真面目な方、あまり来ることのない教習所のコースをぐるっと見回す方など様々。

その様子をぼぅっと眺めながら、あと5分で教官が来る事をチラッと確認する。


「お、今からか」


誰かに話しかけられた気がしたので、顔を上げてその方向を見るとニコニコと笑っている白髪かりゆしウェアおじさん(もうあだ名付けてんの失礼)


そうですよー、と軽く返事をしすると、間髪入れずに次の言葉を食らった。


「あんた女だからすぐ判子もらえるよ」


一瞬何の事を言われたかわからず、頭にハテナを浮かべていると

白髪かりゆしウェアおじさんは続けて

「教官は男で、あんたは女だから。男の教官は女には甘いんだよ。すぐ判子あげちゃうから下手な女が多いんだよ。」

「だから女は運転が下手なんだよ。」


Oh...

こういうの、言葉にしているのを久々に聞いたもんで、言葉に詰まってしまった。(いや全然もっと酷いこと聞いたり言われたりしたことあるけどさ)


ほら、今あんまり他人と話す機会ないじゃない?新型ほにゃららウイルスの関係でさ。なので言葉が余計に圧を帯びる感じがするのよね。


もちろんこんな人面倒だし、関わらないのが一番良いが(私の精神衛生上)、ただ無視するのも気が引けたので「へへっソウナンデスカネ...すみません(?)」みたいなよく分からない返事しかできなかった。

その後は冒頭のシーンに戻る。



正直、私は運転がまだまだ下手だ。センスもあるとは言えない。

だから練習あるのみと思っている。お金を払って習いに来ている。なので(?)そんなこと言われる筋合いがマジで、MAJI  DE NAI。

それに教官の中にも女性はいるし、そもそも性別関係無いし、
そんなに甘いなら私はもうやり直しとかしなくて良いはずですけど?
これって私にもだけど、免許持っている全女性にはもちろん
ここの教官達にも失礼すぎるのでは?(怒ってる)


彼が言った事だって、まぁいろんな考えがあって良いのだ。別に。

この方は私の祖父でもないし、上司でも掛かりつけのお医者さんでもない。

これからの私の人生にいなくても何ら支障はない人なのだ。

ましてやこの言葉は、私だけに言ったわけではない。運転免許を既に所持している「女」を指して言ったのだ。(そこが一番頭を抱える点だが)

でもムカついてしまったのだ。この方のお孫さんは(いるか知らんけど)そんな事を面と向かって言うような人間にならないでくれ…!


あと、私に出来るのは
おじさんに食べるもの全て少し苦く感じる呪いをかけとくくらいですかね。


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