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坂の上の絶景や思い出、夢など

神戸のまちは坂道だらけ──神戸っ子にとってこれは常識です。

山と海にはさまれた神戸のまちは東西に細長く広がり、必然的に南北に走る道は坂となります。私の自宅は阪急沿線にありますが、最寄りの駅から徒歩2分なのに、駅を出てすぐ急な坂道を上らなければなりません。

3月31日放送の「秘密のケンミンSHOW極」では、そんな“坂のまち”神戸を特集をしていました。坂道の多いまちならではの“あるある”を紹介する内容ですが、神戸っ子にとってはいずれもウンウンとうなづくことばかり。

神戸はどこ行っても坂道

「斜面都市」「斜面市街地」という言葉を同番組で初めて知りました。斜面つまり坂の多いまちで、神戸も加盟している「全国斜面都市連絡協議会」なる団体もあるのですね。

神戸のほかに小樽、函館、横須賀、熱海、尾道、呉、下関、別府、長崎、佐世保、北九州の12都市で、港町が多いのがわかります。もともと平地が少なく、住宅は背後の丘陵地に造らざるを得なかったのです。

坂上りのきつさといえば、箱根駅伝の難所5区が傾斜13・4%。平地で100 メートル進むと13・4メートル高くなる意味です。

8%以上は急な坂に分類されるそうで、同番組では「電動自転車で立ちこぎしないといけない坂がある」と女性が関西人らしいコメントしました。

実際、傾斜34%の坂道を自転車を押して上っていくおじいさんの姿が放映されていましたが、さすがに番組スタッフも声をかけられませんでしたね。

坂の多いまちは日本全国たくさんあります。東京も意外と坂が多く、一説によれば名前が付いている坂が700 以上もあるとか。乃木坂、桜坂、日向坂など坂道の名前を冠したアイドルグループもあります。

『ブラタモリ』(NHK)のタモリさんは大の坂道好き。『タモリのTokyo 坂道美学入門』(2004年刊行、講談社)という著書もあります。

それはともかく、神戸の坂道は上りきって振り返ると家並み越しに海が見える、それもきつい勾配の坂道ほど絶景であることが多いのです。これはほかの「斜面都市」とも共通するところで、東京や内陸(盆地)の坂道にはない魅力ではないでしょうか。

そう、神戸は「海の見える街」なのです。

リーナ★リーナ教室講師のいわさきかおりさん。弾むようなオカリナの音色が素敵です。

日本三大夜景が変更されていた

もうひとつ、坂道の魅力を語るうえで外せないのが「夜景」の素晴らしさ。「ケンミンショー」の特集でも神戸・摩耶山の掬星台からの夜景が紹介されていました。

かつて“ 100万ドル夜景”と謳われ、日本三大夜景にも数えられて神戸っ子の自慢でした。ところが、いつの間にかその日本三大夜景が変更されていてびっくり。

私の記憶では、日本三大夜景は函館、神戸、長崎でした。北海道函館市の函館山、長崎県長崎市の稲佐山からの夜景はいずれも絶景です。

「夜景観光コンベンションビューロー」が2015年10月に発表した日本新三大夜景ではこうなっています。

・長崎県長崎市
・北海道札幌市
・福岡県北九州市

これは認定の基準が、ある特定の場所(スポット)ではなく「都市」を対象にしているから。神戸っ子としては釈然としませんが、これが現在の「一度は見たい日本三大夜景」です。

「ケンミンショー」の特集で最も興味を惹かれたのは「学校坂道」(作詞作曲・西口ようこ)で、迂闊にも知りませんでした。

ネットでも話題になっていて、娘に聞いたら「小学校のときにめっちゃ歌った」。NHKの「みんなの歌」で発表された楽曲(1984年)で、さとう宗幸(故人)が歌っています。

確かに、坂の上の学校に毎日登校する子供たちは体力がつくでしょう。そして「学校坂道」の歌とともに貴重な思い出として記憶されていく…。

番組では幼稚園児が歌っていましたが、お母さんたちでなくとも、なんか、涙が出てくるような……名曲かもしれません。

「坂」の付いた歌はけっこうあって、パッと思いつくだけで「桜坂」(福山雅治)、「無縁坂」(さだまさし)、「硝子坂」(高田みづえ)など。

オカリナの持ち曲として、いま習得中の「夢をあきらめないで」(作詞作曲・岡村孝子)は、歌いだしから坂道が出てきます。

乾いた空に続く坂道
後ろ姿が小さくなる
優しい言葉 探せないまま
冷えたその手を 振り続けた♪

同じく習得中の「stand alone 」は、ドラマ『坂の上の雲』の主題歌。いやはや、坂の上には絶景や思い出、夢などいろんな景色があるのですね。


坂に関する名言といえば、故・野村克也監督の

人生には三つの「さか」がある。「上り坂、下り坂、まさか」や。

が有名ですが、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻──まさか、まさかが続いたこの2年。一日も早く平和な世界が戻ってくることを祈るばかりです。

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