Photo by mimari800 【詩】鳥とイチジクと黄色い搭 4 あづま 2020年2月21日 14:12 うだる空気。そよぐ熱風。伸びた影。爛れたイチジクを頬張り、極楽鳥の夢を見る。揺らめくイエローの搭。陽炎メランコリック。ああ、私は私ではなく。あの搭を飛び回る鳥だったかもしれない。焼け焦げた肌に、一匹の蠅がとまる。影はどんどん黒く伸びて、やがて逃げる。逃げた影が、搭に集まり息をひそめる。私はもはや私でなくなる。生まれる前に戻ってしまおう。まだやわらかい、羽毛にくるまれて。 ダウンロード copy #詩 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート