【書評】傲慢と善良(ネタバレ無)
こんにちは、大人の課題図書です。
今回はタイトルの通り、善良と傲慢を読んでみたので書評を書いてみました。ネタバレは含んでいないので、読んでみてください。
【タイトル】傲慢と善良
著書:辻村深月
感想
ちびちび読もうとしていたが、一気読みしてしまった。
ストーリーもシンプルで、結末もハッキリ描かれているのに小説から抜け出せなくなる感覚に陥る。また、透明感ある描写が特徴的で解像度の高い心情表現になっている。表現がストレートであるため人間の深い内面を見せつけられているような気分になる。
ストーリーは39歳(♂)と35歳(♀)の婚活話。結婚直前で女性が行方不明になり、それを捜索する話。前半は男性(探偵的な)目線。後半は女性目線で描かれる。高慢と偏見をモジった題名に、現代の婚活事情を表現したものある。
いつかは、結婚してみたい。そんな気持ちを誰もがもったことがあるだろう。そんな漠然とした希望のなかに、行動に移せないのはなぜか。それは傲慢な心が潜んでいたからだ。
著書の中に、こんな表現が出てきた。なぜかピンとこない="相手が格下"と感じるときだ。と。
友人が結婚すると報告を受けたときに話を思い出した。
(かなり失礼だが)なぜ、友人はその彼女と結婚するのだろうと感じたことがある。表面だけ見ると不釣り合いだが何故か暖かく言葉にできない二人の雰囲気を見せつけられたことがあった。
当時の私は善良な心に見せかけた傲慢さを持っていたのだろう。
今では幸せな家庭を築いており杞憂だったので当時の私を殴ってほしいくらいだが、当時は本気で疑問に思った。
読了し感じたが、過ぎた傲慢さは身を亡ぼすし、過ぎた善良は傲慢さをもたらす。登場人物の男性は、傲慢だが善良な心を持ち合わせている。女性は善良だが、傲慢さを持ち合わせている。女性の名前が"真実(しんじつ)"とかいて、"まみ"と読む皮肉めいたところも面白い。間反対な二人だが、そこに重なりができている。誰もが大小あるものの傲慢さを持っているのだ。
本書を読むことで自分の傲慢さを客観的に見ることが出来るようになった気がする。冒頭にも書いたが、小説から抜け出せなくなっている。抜け出すまでには数日かかるだろう。
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