見出し画像

オリガ・モリソヴナの反語法 読書感想

すごい!前回の投稿から3ヶ月も経っているじゃないか!この調子なら有名クリエイターになれる日も遠くないね!!!

画像1


はい。読み終えました。3ヶ月かかりました。もちろん毎日読んだとかそんなことはなく、読みはじめた時に序盤だけ、そして最近残りを一気に読みました。こんな読み方したせいで、序盤の方を何度も読み返すことになったので定期的に読むやり方の方がいいんじゃないかとも思ったのですが、この本に限って言えば、自分の能力じゃどちらにせよ読み返す羽目になったと思います。

まずはじめに、作者である米原万里さんに感謝をさせていただきたい。「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」「オリガ・モリソヴナの反語法」を読ませていただいたいたのですが、おかげさまで私は過去の私とは違う私になれたと思います。これは思い込みや勘違いではなく、しっかりと感触を私に与えました。私の頭の中で何かが変わったのです。絶対。

本当にありがとうございます。これからも米原万里さんの作品を探しては読ませていただきます。

本題

さて、感想なのですが。この物語は重いです。重い、というのは暗いという意味ではなく、ただひたすらに読むのが疲れます。私の場合、特に序盤は。
登場人物は多いわ政治は絡むわ自分の知らない国だわで頭の中がパンクします。本当にまじでぎゅうぎゅう詰めです。ウインナーです。
ですが読み終えてみるとあっという間でした。期間こそ3ヶ月かかりましたが、中盤以降は読むのをやめられませんでした。疲れるまで読んで、それを繰り返してこの本の5分の7を一週間で読み終えました。

この本は謎解きです。とは言っても、サスペンス等の謎解きとは異なります。なんと言えば良いのでしょう。
・サスペンス→設定をもとに謎解きをする。
・オリガ・モリソヴナの反語法→設定を求め謎解きをする。
ように感じました。おそらく設定という言い方はずれています。
以下に一つずつ感想を書いていきます。

この小説の主人公

この小説の語り部は弘世志摩ですが、主人公はオリガ・モリソヴナという教師だと感じました。オリガ・モリソヴナの秘密を求めることがこの作品の大枠です。

オリガ・モリソヴナ、彼女は作中のあらゆる人を魅了しましたが、私自身も例外ではないでしょう。彼女のように強く、誇り高い人間を私は他に知らないです。
加えて、私が魅了されたのは彼女だけではありません。舞台はソ連、ロシアが中心なのですが、描写の中で映る人々はとても眩しく写りました。彼らをみていると、自分はなんて窮屈なんだろうと感じてしまうほどに。彼らが皆個をもち、誇りがあり、自由だったと感じます。それは、私が日本人であることも関係しているはずです。このことは池澤さんと米原さんの対談でも記されています。

勇気とユーモア

オリガ・モリソヴナに勇気という言葉は似合わないなと思いました。
何故なのかはわかりません。彼女の行動は確かに勇気がなければできないようなものばかりだと思います。しかし勇気という言葉よりも彼女にはふさわしい言葉があるように感じました。それを私はユーモアだと思っています。
この本には少なからず人の心を曇らせるような場面がありますが、彼女のそれは周りの人物と読者の空気を変えます。もちろん良い方向に。

善意

この小説には悪意がたくさんあります。理不尽がたくさんあります。私が感じる理不尽がどれだけ矮小なものかと感じさせられてしまいました。
しかし、現れる善意はとても暖かく、強いものでした。登場人物の多くがこの善意を持っていました。これは先に書いた「個がある」ことに連なっていると思います。

本当に、自分はどうしてこんなビクビクして生きているんだろうと感じます。彼らは、怯えていなかったです。

人のつながり

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」のときも感じたのですが、人のつながりというものがとても暖かくて強いものだと感じさせられます。人の善意がこれを強調しているとも思います。

反語法

皮肉とはまた違ったものだと感じます。これについては、読んだ方にしか分からないものがあると思います。

終わりに

ぶっちゃけ一度読んだ程度じゃこの本の全て理解するなんて無理です。
この本はあらゆるものでぎゅうぎゅうになっています。自分の感想文で書き切れるはずがありません。
だから読んでみてほしいです。読んで、このnoteの作者を笑ってください。「このnoteの筆者は大した慧眼をお持ちのようだ!!こんなに素晴らしい本をまるで新鮮な卵をレンジに打ち込んだようにするなんて!!!」

これただの悪口だわ。