湖の水、全部抜いてみる?~湖底地形を観察する~
湖の中ってどんな地形が広がっているのかな、って思うことありますよね(ないですかね)。
湖の水ぜんぶ抜く大作戦が実行できれば実際に観察できますが、広い湖沼ではそんなことできませんし、どこかからすごく怒られそうです。
さて、そんなときは水中を深浅測量して可視化するわけですが、国土地理院は湖沼の地形データを公開してくれています。
水を全部抜く代わりに、このデータを使用して湖底地形を観察してみましょう!
ターゲット:屈斜路湖と摩周湖
私がいつかは行ってみたいと思っている、北海道東の屈斜路湖と摩周湖をターゲットにします。下の図は基盤地図情報DEM10Bより作成したもので、湖面は当然ながらまっ平です(ピンクの線が湖岸です)。
今回は立体感のある図を作成したいので、ArcGISのシーン機能を利用して表示し、高さ方向は3倍に引き伸ばしています(立体感が出やすいように、誇張しています)。
水を抜いてみる
さて、水を抜いて湖底の地形を表現します。水を抜くことを、ArcGISのラスター演算ツールを利用し、DEM10Bから湖沼データの標高を差し引くことで表現しました。
※上の図と標高の色凡例が変わってしまいましたがわかりにくくごめんなさい。
下の図は摩周湖です。湖の真ん中になにやら円頂丘が存在していることが確認できました。普段からちょっとだけ水面上に顔を出しているようですが、湖の中ではこんな形で存在していたんですね。まさに氷山の一角という感じです。
参考に高さ方向を誇張しない図も掲載しておきます。
つづいて、屈斜路湖は、摩周湖と比べて広く浅い湖のようです。
広く浅いのですが、一部に深い部分が存在していることが確認できました。湖内に存在する和琴半島(おそらくトンボロでしょう)の脇は、かなり水深が深くなっています。検索してみると、かつての爆裂火口のようです。
湖の中は土砂や植物などの堆積が進行し、湖底は平坦になっていくものと想像できますが、それでもいまなおこの水深を維持しているというのは、相当深いのか、あるいは堆積が生じにくいようななにか現象が起きているのか?という疑問が湧いてきます。
地上の地形は目に見えますが、水の中は観察することができません。そんなときに測量データは有用なものだと改めて感じます。湖底の地形を知ることは、その湖の歴史を理解することの一助です。日本には多くの湖が存在していますが、ひとつひとつに形成の歴史が当然あり、私はこれにちょっと興味を持っています。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
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