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昼に1500円のハンバーグを食べた話

それは9月の中旬だというのにやたら日差しが強い日だった。あの日食べたハンバーグの味が忘れられない。

貧困学生が1500円のハンバーグを口にするまで

私は金欠大学生。昼に1500円のハンバーグを食べる財力などない。そう、人の金で1500円のハンバーグを食べたのだ。

奢ってもらわなかったらこの味を知らないまま少なくとも5年は過ごすことになっただろう、5年分得をした。インターン先の社長には感謝しかない。私も一人前に稼げるようになったら高級ハンバーグを奢って他人の幸福に貢献したいなと思った。

件の店は本郷三丁目にあった。駅から少し離れた比較的静かな場所に佇むイタリア料理店。インターン先から10分ほど歩いたところにあって社員さん含め8人で行った。

店内はアンティーク調のランプやワインセラーなんかがあって営業のメインはディナーなんだろうなと思った。よく小説に「いい店があるんだ」という台詞があるけれどこの店はまさにそのイメージにぴったりだった。そんな誘われ方されたことがなくて今まで想像しづらかったけれどおかげで脳内ライブラリが充実した。

奥の席に通されランチメニューが渡された。ランチコースはサラダバーがついて一律1500円。店の雰囲気にしてはやけに安いなとは思ったけれど本郷三丁目は飲食店が多いので価格淘汰のせいだろう。後で調べて知ったのだけれどディナーの平均はこの6倍だった。大人の「いい店」って怖いね。

ランチコースの選択肢はパスタとハンバーグだったが迷わずハンバーグを選んだ。ハンバーグでnoteを書こうとする程度には私はハンバーグが好きだからだ。コンビニのレンチンハンバーグもスーパーの冷食ハンバーグも買って確かめずにはいられない。1500円のハンバーグは食べたことがなかったのでさぞかし美味しいだろうとワクワクしていた。ブルジョワの食べ物だ。

談笑したりサラダを食べたりして待つこと20分。黒いサロンをつけたイケメンのお兄さんが8人分のランチを並べてくれた。私の前にも白いお皿の上に乗ったハンバーグがサーブされた。人参と生パスタとシシトウが添えられたそれはさあ食べてくださいと言わんばかりにハンバーグを強調していた。

全員に料理が行き渡ったところで社長が「じゃあ食べましょうか」と言った後、各々合掌して食べ始めた。私も合掌して社員さんのナイフ使いを見つつ、同様にハンバーグを切り分け、口に運んだ。そして一瞬で幸福になった。なんだこれ、めちゃくちゃうまい。

高級料理なんぞほとんど口にしたことがないが美味しいことだけはわかった。まず肉が柔らかい。「ホロホロ」っていう表現がぴったりだと思った。今までホロホロってなんだよ!って思ってたけど初めて「これがホロホロ…!」と納得した。挽肉が死んでない。肉の粒が生きている。仕事してる。

肉質もいい。どっかいいところの牛肉使用とか店先の看板に書いてあった気がするけれど美味しい草を食べて育った牛だったんだろう。ストレスフリーの味がする。

あと肉汁?すごいね。コンビニ弁当だとか特売のパスタソースとかばかり食べてきたバカ舌だから自信はないけどたぶん赤ワインが隠し味に入ってる。肉に対する適切な表現なのか知らないけど芳醇!って思った。

本当に美味しかった。握りこぶし分あるかどうかの大きさだったけれど、私は余すことなく堪能し幸福感に満たされた。ここ1ヶ月就活で心がバキバキだったのが少し回復した気がする。

今まで食べてきたハンバーグはなんだったんだ?ただの肉のすり身?あの味を超えるハンバーグはしばらく食べられないだろうし、もう3個で298円とかの冷凍ハンバーグとかSF世界に出てくるような合成肉としか思えないかもしれない。それが唯一残念な点だけど、お金を貯める目標がまた一つできた。

とにかく、平日の昼に本郷三丁目に行く用事がある人にはぜひ食べに行って欲しい。きっと幸福になれる。

お店はここ↓

クッチーナ イタリアーナ ラ コッリーナ050-5597-1327
東京都文京区本郷3-24-1 伊藤ビル 1F

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