映画紹介「ファイト・クラブ」
わたくし、23歳、男、学生。
お恥ずかしい話ですが、今まで人に殴られたことがない。もちろん僕の拳を友達の頬にクリティカルヒットさせたことはないし、そもそもろくに喧嘩をした記憶もない。
つまり僕はこれまでの人生で、“violence”とは一定の距離を保ってきた。そしてきっとこれからもこの関係は続くのだろう。
でも、ほんのすこしだけど、殴り合いの喧嘩に憧れる“もう一人の僕”もいる。たぶん女子には共感してもらえないだろうけど。
夕方の河川敷に対峙するは二人の男。拳と拳の真剣勝負。両者の実力は互いに拮抗している。さすれば決着なかなかつかず。すでにあたりは暗くなっている。
最後はお互い相打ちになり、同時に地面に倒れる。痛みと脱力感、そしてなぜか少しの爽快感を感じながら仰向けになると、そこには一面の星空が広がっていた。
「お前いいパンチもってんじゃねぇか」って言いたい。
「お前もな」って言われたい。
こんな青春にも少し憧れるのだ。たぶん女子には共感してもらえないだろうけど。
1999年の映画「ファイト・クラブ」は、こんな男心をくすぐる作品だ。
自動車会社に勤める「僕」(エドワード・ノートン)は、身のまわりの生活用品をブランド品でかため、物質的には何不自由ない生活を送っている。しかし精神的には満たされておらず、不眠症に悩んでいた。そんなある日、出張中に自宅で爆発事故が起こる。自宅も家具もすべてを失ってしまった僕は、機内で出会ったタイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)という男に助けを求める。やがて二人は意気投合したのちに、「ファイト・クラブ」を結成するのだが…
まあとにかく見ればわかる。まさしく観客はこの映画に殴られる。無傷ではいられないだろう。でもなぜか僕らはそこに奇妙な爽快感も感じるのだ。
さあ男たちよ、この映画を見よ!
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