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山が教えてくれたこと
ゴールデンウイークも、あと一日となった。
観光地に人が集まるニュース映像を見て
「いつもの連休」が戻ってきたのを感じた。
5月は気候もいいし、お出かけには最適だけど、
あの人混みや高速道路の渋滞には腰が引ける。
休みが分散して取れたら、混雑に巻き込まれず
快適に過ごせるのに・・と、いつもながら思う。
たぶん、それが出来ないのは
休みをバラバラに取ると、学校のカリキュラムが進まないとか
諸々な事情があるからだろう。
言っても変わらないなら、臨機応変に行動するしかない。
何でもそうだが、なかなか変わらないものに対して、
根本から変えようと努力するより
少しの工夫で、快適に近づける方が簡単だ。
今回のゴールデンウイークは、
大勢の人出になると予めわかっていたので、
観光地でない場所を訪ねてみようと思っていた。
その日の天気によって、出かけるか家で過ごすかを決め、
朝晴れていたら、ネットで検索して、
日帰りできる登山コースか、里山ウオークに出かける。
少し早めに家を出て、途中のコンビニで
飲み物と軽食を買い、リュックに詰めて歩き始める。
重装備せず、森林浴をしにハイキング・・
という気軽さがいい。
![](https://assets.st-note.com/img/1651670246101-0Ot4eMUlVa.jpg?width=1200)
でも、近場だからと甘く見てはいけない。
どんな山でも、山は手強い。
900m級であっても、しばらく登ると息は上がるし、
膝はだるくなるし、太腿はパンパン。
そうやって、なんとか頂上到達することができるのだ。
そこで、やれやれと、眼下に広がる景色を見れば
それまでの疲れが一気に吹き飛ぶ。
あの達成感と爽快感は、他と比べることができないから
つらくても懲りずに、また山に来てしまうのだ。
山の中を歩きながら、ふと思うのは
私は無になっている
日常のことを完全に忘れてしまっている
ということ。
簡単に言えば、考える余裕がない。
呼吸は荒くなるし、一歩一歩注意して進まないと
足を取られて転げ落ちそうになる。
大きくなくても、常に危険と隣り合わせだから、
気を抜いては歩けない。
下界にいながら、そんなふうに考えることがあるだろうか。
もし、今悩んでいるなら、山を歩くことをお勧めしたい。
美味しい空気と、新緑に癒されるのもそうだけど、
それより何より、生きる厳しさを
教えてくれるのが私は好きだ。
山は私に、悩む余裕を与えてくれない。
特に慣れないうちは、疲労と闘いながら
自分を守ることで精いっぱいだった。
表情を変える自然に翻弄されながら
ここで死にたくない、と
生に執着する自分に気づかされた。
これが終わったら温かいお風呂に入りたい、という
シンプルな欲望のために歩いたこともあった。
そんなシンプルな贅沢を教えてくれたのも山だった。
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