ビジネス・エコシステムの法則:成功するソーシャルゲームについて

 昨今は様々なソーシャルゲームが誕生し、長続きせずにサービス終了することは少なくない。しかも、強大なIP(ドラゴンボールやワンピースなどといった知的財産)を活用したからといって必ず成功するわけではない。
 しかし、一方で長続きしているゲームが存在していることも確かである。当然、40歳前後の金銭的に余裕のある世代をターゲットにすれば良い、というわけでもない。
 本記事では、ソーシャルゲームにおけるエコシステムの2重構造へ焦点を当てるとともに、成功するソーシャルゲームがどのようなものかを解説していく。

ソーシャルゲームの基本機能は概ね以下の3つの機能に分けることができる。ただし、すべてのソーシャルゲームに当てはまるわけでないことに留意されたい。

 

・1人用クエスト
・マルチ用クエスト
・グループ機能


1人用クエスト

 1人用クエストは、常設タイプのクエストと期間限定タイプのクエストに分けられる。常設タイプのクエストは、ストーリ性のあるものが多く、1回プレイするだけのタイプも少なくない。期間限定タイプのクエストは、曜日ごとに得られるアイテムが決まっているものやコラボキャンペーンに関するものなど、である。新規顧客の獲得方法としては、基本的なゲームコンセプトに加えて、コラボレーションによって、それらのエコシステムに一時的に組み合わされることで顧客を獲得するという手法である。もし、魅力的なIPとのコラボレーションを連続的に行えるのあれば、それだけで顧客の獲得を見込めるだろう。ただし、定着するかは別の問題である。
 1人クエストの論点は、いかにプレイヤーを飽きさせないことにある。難易度が高すぎず低すぎず、また、プレイしたいと思うクエストでなければならない。一般的な家庭用ゲームと同じで、操作性やゲーム自体のゲーム性などがポイントになる。

 

マルチ用クエスト

 マルチ用クエストは、ネットワーク外部性の直接効果、を考慮する必要がある。マルチクエストは、インターネットを介して協力または競争するクエストのことである。ポイントとして一定のプレイヤー数が必要になる。想像してみてほしい、マッチングしないオンライン対戦に価値はあるだろうか、いや無い。
 マルチ用クエストの論点は無課金者と課金者のバランスである。ネットワーク外部性の直接効果が働く以上、課金者を優遇して無課金者がプレイを離脱するような事態になってしまってはいけない。一方で課金に意味がないとなり課金者がいなければ、ソーシャルゲーム事業がビジネスとして成り立たない。


グループ機能

 グループ機能とはプレイヤー同士をグループ化することで、グループ内でコミュニケーションを促すことができる機能である。特に気になるのは、グループによって関与度やロイヤリティといったゲームへの意識が高まる可能性があるということだ。グループ内でのコミュニケーションによって、無課金者が課金者より多くの情報を受け取り、ゲームへ対する意識を高めていくことで、課金者となりうる仕組みである。

まとめ

 結局、どうすれば良いか、というとゲームによるというのが結論にはなってしまうが、基本的に以下のポイントを抑えているものは長続きしやすいように思う。

1. クエスト数(イベント含む)が多い(ネットワーク外部性の間接効果)
2. マルチプレイがある。ただし、ランク分けをしたり、課金を戦力とは別のパラメーターにする(PUBGなど)などの工夫が必要。(ネットワーク外部性の直接効果)
3. グループ機能を活用することで、無課金層を課金ユーザーへと転換する仕組みにする。

 内容が薄くなってしまったので、近いうちに書き足します。また、グループ機能に関する作用は、一般的には「サービス・エコシステム」という言葉で説明sされます。また、ビジネスエコシステム概念を援用して作られたマーケティング概念で、サービス・ドミナント・ロジックの発展系であります。

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