ショートエッセイ:隠れ里の沈黙
グンマ―のお話。
叔母の車で日本ロマンチック街道(が、今やそう呼ぶ人は誰もいないっぽい)を駆け抜ける。
村営の温泉にゆっくり浸かって、併設のレストランでオシャレな昼食を摂った帰り。秋の風は涼しく、身も心も気持ち良く満ち足りていた。
「この先を行くとね」
不意に叔母が口を開いた。
「平家の落人集落があるんだよ」
「フ~ン」
いや、落人集落なんてこの界隈じゃ珍しいもんじゃないし。
一寸思いつくだけで利根村の藤原とか中之条町とか。うちの先祖@みなかみ町にも落人伝承があるし、隣の栃