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ウポポイ(民族共生象徴空間)に行ってきました。

こんにちはRYUです。ご存知の方も多いかと思うのですが、オープンが遅れていたアイヌ文化のミュージアム「ウポポイ」(民族共生象徴空間)が、今年7月にオープンしました。個人的に「いま一番行ってみたい場所!」だったのですが、今回GOTOトラベルキャンペーンの助けを借りて実現できたので、報告してみたいと思います。

まずは、「ウポポイ」の位置はこちら。新千歳空港から車でもJR特急でも、1時間程度の距離にあります。JRは本数が少ないので、運転可能でしたらレンタカーの方が便利かと思います。

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今回私はレンタカーを使い、新千歳空港から高速道路を通って白老ICを降りました。高速道路経由では支笏湖や洞爺湖を経由しないので、特に観光する場所も無くまっすぐ到着します。

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現在のウポポイはコロナ禍の影響で、入場予約が必要です。まず入場予約と園内にある「国立アイヌ民族博物館」展示室入場の日時予約は、事前(2週間前から)にインターネット等で行います。これが無いと入場できません(汗)。

次に、体験交流ホール・体験学習館・工房のプログラムは、当日整理券をもらって観覧します。特に「体験交流ホール」は、先に整理券をもらってから、他の箇所を回ったほうが効率が良いかと思います。

ではまずは、エントランスの目前にある「国立アイヌ民族博物館」に入ってみましょう。

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入口・出口ともに一方通行で、一度出ると再入場はできないので注意してください。

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館内広いです!

狩猟道具や衣類・食器などの生活道具、祭礼の道具、過去に撮影された伝統芸能の動画など、アイヌ文化に纏わるものが一同に展示されています。このへんの展示物は公式WEBサイト等で見ていただけるので、博物館の展示品は私が気になった2点だけご紹介します。

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こちらは「熊送り」の儀式レプリカ。

「アイヌモシリ」(人の世界)」に熊(特にヒグマ)の姿で遊びに来たカムイ(神)の魂(霊)を、天上の「カムイモシリ」(神々の世界)に送り返す祭式儀礼。最終的には熊を殺して神様に捧げます。文献で辿れるのは17世紀までですが、12世紀くらいから行われていた可能性もあるようです(Wikipediaより引用)。

そして、私が一番見たかったのがこちらの彫像です。

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貝澤徹さん作「火の神」(アペフチカムイ)。

制作過程をテレビのドキュメンタリーで見てから、いつか実物が見たいと思っていました。一本の大木から、よくこんな造形を掘り出せたなと・・・。生命が宿ったようなオーラを感じる作品です。

「火の神」はアイヌにとって最も生活の場に近い神様で、家の「囲炉裏」の中にいるんだそうです。そのせいか、この神様は女性顔?囲炉裏で調理する、母や祖母を思わせる神様です。

あまり紹介されていないようですが、背面も凄いですよ。

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アイヌの神が降臨した?ような造形

技術的にも凄いんですが、作者の貝澤さんはアイヌの神様に繋がる「チャネラー」のような方なんじゃないかと思います。この他の作品も凄いので、気に入った方はぜひご覧ください。

※博物館の内部は一部撮影NGなのでご注意ください。告知(サイン)も控えめなので、気づかなかったりします。

博物館を出た時点で2時間経過したので、いったんエントランスを出てフードコートへ。

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ランチはザンギ定食♬

北海道と東北の一部では、鶏の唐揚げを「ザンギ」と呼ぶようです。運がつくようにという意味から「ウン」と「ザーギー」という言葉を組み合わせて「ザンギ」と名付けられたという由来があるようですが・・・確証は無いみたいです。

博物館の外に出ると、敷地の中に「ポロト湖」が。実際にアイヌが生活の場で使っていた湖です。この湖の回りに伝統芸能を披露するステージが2つあり、私は「ムックリ」という楽器の実演を観覧しました。

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実際の演奏はこちらで。木片と糸を組み合わせた楽器で、「ビヨーン」という音が出ます。糸の張りや口の動きの調整で、音階が出るんだそうです。他ではあまり見ない、特徴のある楽器でした。

こちらはアイヌの家屋「チセ」です。屋根と壁に「茅」を使った掘立柱建物で、内部は部屋が1つ!であるのが特徴です。部屋の中心には、先ほどの「火の神」が宿る囲炉裏があります。

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茅を束ねた構造が見えるかと思います。北海道の冬季に、保温性がどの程度だったのか?は、定かではありません・・・。

待ち時間が長かったので、「体験交流ホール」「体験学習館」は今回スルーしました。次回また訪問する理由を残しておくのも悪くないかなと思います。

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そんなわけで半日しっかり楽しめたウポポイ、アイヌ文化に関心がある方はもちろん、さほど関心が無い方にもお勧めできます。機会があったらぜひお立ち寄りください。

ちなみに今回ご紹介した「文化」だけでなく、ぜひ「歴史」も知って頂けたらと思います。江戸時代から現代までにいたっては、北海道開発と近代化の波に巻き込まれ、土地や狩猟の権利、文化を次々に奪われた受難の歴史でした。

このあたりは人気マンガ/アニメ「ゴールデン・カムイ」にも描かれていますから、マンガで見たという方もいらっしゃるかも。

アイヌが先住民族として正式に認定されたのは、平成20年6月の衆議院本会議でした。わずか12年前まで、「アイヌは民族として認められていなかった」という事になります。また、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が制定されたのは令和元年。アイヌの独自文化の尊重が明文化されたのは昨年!と、ごく最近のことです。

19世紀以降の近代化の過程の中では、多くの国に「征服・被征服」の歴史がありました。日本にもそんな歴史があった事実を、知っておく必要があると思います。 (RYU)