見出し画像

デ・キリコ展を見てきました

こんにちはRYUです。唐突ですが皆さん、絵画は好きですか?私は自分で描くセンスは全く無いのですが、絵画は好きでこちらのnoteのアカウントにも「アート部」を設定しています。

今回、東京ビックサイトで展示会の仕事があったので、後泊して東京都美術館の「デ・キリコ展」を見に行ってきました。とても良かった!!ので、今回はこちらの報告をしてみたいと思います。

久しぶりに上野へ

東京都美術館は上野公園の中にあります。というわけで、久しぶりにJR上野駅で下車しました。五輪に合わせて、駅舎もすっかりキレイになっています。

見違えるほどキレイになりました

駅を出て右側が西洋美術館、左側が東京文化会館、奥が上野動物園です。目的地は上野動物園の手前右にあります。

数分歩いて、上野公園の奥まったところにある東京都美術館に到着。場所は奥まっていますが、内部は広い!です。

こちらが東京都美術館

ポスターになったのは、デ・キリコの絵の特徴である「マヌカン(マネキン)の頭」が主題になった作品「形而上的なミューズたち」。うーんシュール!!期待が高まります。

実はこの絵画展、当日券の販売は平日のみ。土日祝日は予約がないと入れない!という貴重なものでした。入場料は@2,200と高めなんですが、結果を先に申し上げると、その価値は十分以上!にありました♪

「形而上絵画」のリアリティ

それでは早速入場してみます。元々私は抽象画が大好物で「キリコ=抽象画」のイメージだったのですが、制作時期によってさまざまな作風があります。改めて時系列でみると理解が進むので、いっそう見ごたえがありました。

休日には、この列がいっぱいになるそうです💦

作品点数が多いので詳細は公式サイトで確認頂きたいのですが、「シェアOK
」になっていたので、私が個人的に大好物な「形而上絵画」に絞って、いくつか作品を紹介したいと思います。

まずはデ・キリコの「形而上絵画」の誕生期の作品、「バラ色の塔のあるイタリア市場」を見てみましょう。この場所は作者にとって見慣れた場所のはず・・だったのですが、ある日「全く違う場所に見えた」作者の体験から描かれた絵画です。

画面全体から不安・不穏の空気感が伝わります

誰もいないのに長く伸びた人影、天災でも起きそうな不穏な空の色、左右で違う遠近法・・・など、見慣れた場所なのに憂鬱・不安・不安定を感じる場所として描かれています。実際の風景の写実ではなく、作者の心象を写実的に描く、シュルレアリズムならではの秀作ではないかと思います。

そしてこちらは、室内を描いた作品「球体とビスケットのある形而上的室内」。こちらも水平・垂直・遠近感といった感覚が破壊!されて描かれています。そんな非現実的な空間の中に、ユダヤ人市場で売られていたビスケットだけが写実的に描かれていて、現実と非現実を交錯させる、これまたシュルレアリズムの意図がハッキリ現れた作品です。

平行・垂直・遠近感の破壊!

そして有名なマヌカン(マネキン)系の作品も圧巻でした。こちらの作品は「不安を与えるミューズたち」。マヌカンはミューズや予言者、哲学者、画家である自分・・など擬人化して描かれています。いえ、逆に「生きているはずの人間がマヌカンという生命のない個体として描かれている」と考えたほうが作者の意図に合っているのでしょう。キュビズムとは異なる形で人間を主題にするシュルレアリズムのアプローチ。好みは分かれるでしょうが・・・・私は大好きです。

「マヌカン=命を失った人間」のように、シュールに描かれています

そして晩年になると、「形而上絵画」の世界は「新形而上絵画」に発展します。こちらの作品は「オイディプスとスフィンクス」。通りかかった人間を食い殺したスフィンクスの質問にオイディプスが「正解」し、その結果スフィンクスは自殺した!という有名な逸話をテーマとした作品です。

右がオイディプス

このテーマは過去にモローやアングルなど、様々な画家が描いています。このテーマもデ・キリコが描くと、オイディプス(エディプス)が「命を失った人間=マヌカン」に。こんなにシュールになるのですね・・・。

ヨーロッパでは「オイディプス(エディプス)・コンプレックス」という概念があり、オイディプスは近代の絵画にも文学にも、よく登場します。こちらもシュール!な意味合いがあるので、興味がある方は以下のリンクを読んでみてください。

・・・というわけで、いかがでしたか?好みは分かれるでしょうが、戦前からこんなシュールな絵を描いていたキリコにも驚きますし、実物で見るとそのリアリティは圧巻でした。こちらの美術展は8月29日までで、その後は神戸に巡回します。気になる方は、ぜひ実物を見てみてください!(RYU)

▼展示作品はこちら