【WBC】日本はなぜアメリカに勝てたのか?考えてみました
こんにちはRYUです。野球の世界大会「WBC」が、日本チームにとって最高の形で終わりましたね。3名のメジャーリーガー(2023シーズンからの吉田選手を含めれば4名)と日本のプロ野球に属する選手の力が噛み合い、特に準決勝・決勝は劇的な逆転勝利でした。
出場選手の全員がメジャーリーガーで「世界最強」という下馬評が高かったアメリカチームに、なぜ日本チームは勝てたんでしょうか?結論を先に言うと「日本チームの力がアメリカチームを上回ったから」なんですが、データを調べてみると、ちょっと気になる点が見つかりました。
私は野球の専門家ではなくマーケティングが専門なんですが、WBC終了後の楽しみの一つとして?今回はデータ的な側面から「なぜ日本がアメリカに勝てたのか?」について考えてみたいと思います。
「WAR」ってご存知ですか?
まずは皆さん「WAR」ってご存知でしょうか?もちろん戦争のことではなく、MLBでよく使われている野球の評価指標です。WARは「Wins Above Replacement」の略で、「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を推計した数値です。
打撃指標、走塁指標、守備指標、投球指標などの区分があり、以下は打撃指標のWAR上位ランキングです。「OFF」の欄が「Offensive Wins Above Replacement」の略で、この選手が攻撃面でどれだけ勝利数を上積みしたか?の数値です。通常2.0以上でメジャーリーガーのレギュラー選手レベルらしいのですが・・・
首位のアーロン・ジャッジ選手は何と10.4!年間162試合中、攻撃面だけで10勝以上に相当する上積み貢献をしていることになります。
こちらの上位ランキングの中に、今回のWBCアメリカチーム出場選手が何人いるか?調べてみましょう。その結果がこちらです。
WAR打撃上位20位のうち、4名がアメリカチームでWBCに出場
WAR攻撃評価上位20位までの選手のうち、ブルーの枠(WBCに出場した選手)は4名!という結果になりました。やはり評価されている選手から順に選抜するハズなので、ちょっと少なくないですか??
ちなみにWAR打撃首位のアーロン・ジャッジさんは昨シーズン62本!の最多ホームラン記録を樹立したスター選手ですが、自ら出場を辞退しています。
「ヤンキースの優勝に貢献することが重要だから」というコメントを残していますが、ジャッジ選手は総額485億円!の複数年契約を昨年12月に決めた直後。「エキシビジョンのWBCで怪我して、485億円を棒に振ったら大変!出場できません!」というのが本音でしょう。そりゃそうですよね。
NPBはWAR打撃上位20位のうち、4名が日本チームでWBC出場
これに対して、日本チームはどうだったのでしょうか?NPB公式サイトではWARを発表していないのですが、以下の「やきゅまる」さんがWARを算出していたので参考にさせて頂きました。
これによると、こちらは打撃だけでなく守備・盗塁も入れた野手全体のWAR算出なので直接比較できませんが、上位20名のうち7名がWBCに出場しています。
日本人選手にとっては、WBCに出場してスカウトの目に留まれば、メジャー移籍の可能性もあるので、米国とは対照的に?選手が積極的にWBCに出たいと思っている背景が読み取れます。
MLBはWAR投手上位20位のうち、アメリカ代表としてのWBC出場は1名のみ
では次に投手部門を見てみましょう。こちらが2022年シーズン投手部門のWAR順位です。上位20位のうち、米国チーム代表としてWBCに出場したのは16位のブレイディ・シンガー投手ただ1人!です。
こちらがブレイディ・シンガー投手のプロフィール。昨シーズン10勝5敗、防御率3.23、150奪三振と立派な成績ですが、スーパースター級・・・とまでは言えません。
では投手WAR1位のサンディ・アルカンタラ投手はどうかと言うと・・・。こちらはシーズン14勝9敗、防御率2.28、奪三振207と、まさにスーパースター級の働きです。ただし出身地がドミニカ共和国なので、アメリカ代表選手としては出場できません。投手WAR上位20位には日本の大谷選手、ダルビッシュ選手も入っていますが、MLBの投手上位には外国選手が多いことがわかります。
このように見ていくと・・・米国チームは「ドリームチーム」「銀河系軍団」と言われながら中身は「真のスーパースター」が少なく、特に投手部門ではこの傾向が顕著だったことがわかります。今回の調査から推測できる理由は、以下のようなものでした。
【米国チームにスーパースターが少なかった理由】
1.年俸が高い選手にとって、WBCは故障するリスクばかりで
メリットが少なく、魅力がない。
2.MLBのチームも選手に故障されたくないので、WBC出場には
積極的ではない。
3.MLBの上位選手には外国出身選手が多く、そもそも米国代表に
なれない選手が多い。
そう考えると、今回「侍JAPAN」が対戦した米国チームとは何だったのか?と思わされます。もちろん今回のWBCで優勝した日本チームの価値が下がることはありませんが、「もっと上のレベルの野球」が存在するのは確かです。そしてもう一つ気づいたんですが・・・
前回大会も同じ状況だったのに、いわば「飛車角抜き」で対戦してWBCに優勝した米国チームはやはり凄かった!のかも知れません。皆さんはどう思われますか? (RYU)