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11歳の天才マッサージ師から僕が教わったこと

うちのクラブでサッカーをしてくれている6年生の女の子の話。
突然だが、最近の僕は、もう彼女なしでは生きられない体になってしまった。

変な誤解をしないでほしいのだが、もちろん、いかがわしい話ではない。

練習前や練習の合間に彼女がしてくれる マッサージ が、それはそれはもう…天才的にうまいのだ。

彼女に初めてマッサージをしてもらったのは今年の夏合宿の時だったのだが、
それは今まで受けたどんなマッサージよりも、お金を払って受けたプロのマッサージよりも、彼女のマッサージは果てしなくうまくて、果てしなく気持ちが良かった。

初めてマッサージをしてもらった数分後、もう既に僕は彼女のマッサージの虜になっていた。

まず体中のツボを知り尽くしている前提なのがスゴいし、その上で様々な部位を攻めてきて、力の強弱の加減も、高級マッサージ機を遥かに超える絶妙さ。

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命名・奇跡の指

指先だけでなく手のあらゆる部位を有効活用して指圧してくれるので、マッサージされているうちに僕はどんどん気持ちよくなって、いつのまにか心地よい眠気に襲われてしまう。

合宿が終わってからも、練習日のたびに、グランドに着いた彼女はいつの間にか僕の横にちょこんと来て笑顔で「やりましょか?」と、練習が始まるまでの貴重な時間を割いてくれる。

彼女も日々マッサージを研究しているらしく、毎回毎回新しいやり方を増やしてきて、そのたびに僕は「え、また新技編み出したの?」と幸せに悶絶してしまうのだ。

まだ11歳の、天才マッサージ師。

いかん、これ書いてるだけで体がムズムズしてきた。
あの長い指で肩甲骨をギュッと剥がされたい(必殺・肩甲骨剥がし)
手のひらを、上下からギュッと刺激されたい
腰を押してくれる時のあの気持ち良さを、3時間くらいずっと味わいたい。

そんな禁断症状が起きてしまうほど。
頼む、3月になっても卒業しないでくれ。

さてここからが本題
そんな彼女がいつも施してくれる天才的で優しいマッサージから、思いがけず、僕が気づかされ、教わったことがある。

僕はサッカーコーチで、当然いつも子ども達にサッカーを「指導」してるのだけど、それはもちろん言葉だったり、身振り手振りを使いながら指導を行う。
子ども達になかなか真意が伝わらない、あぁもどかしい…!なんてこちらの一方通行の時は、ついつい声が大きくなってしまったり、時には感情を発露したり。

でもこれ、指導者としては未熟なんですよ。一番理想なのは、何も教えずに子ども達が勝手に上手くなること。つまりそうなるような環境を用意し設定したりだとか、教えられているつもりはなく、気づいたら上手くなってた!と子ども達が自然に実感できるようになるのが一番いい。

昔、岡田武史さんが言っていた。
「普通の指導者は選手から恐れられ
「良い指導者は称賛され
「凄い指導者は、選手に存在を意識させない」

と。その意味では、僕は全然ダメだと思う。自己評価だけど、きっとそう。
まだまだ、普通の指導者だ。

でも岡田さんが言う「選手に存在を意識させない凄い指導者」よりも、さらにその上の領域が実はあるんじゃないかと思うんですよね。

尊敬する岩谷さんが言っていた。
「僕はあのコーチのことが好きや、って子どもが家で親に嬉しそうに話してくれるような、そんなコーチにならなあかん」と。

凄い指導者にもなりたいけど、選手に好かれる指導者にもなりたい。
岩谷さんの言葉を聞いてから、ずっとそう思っていた。

でも最近、さらに思うようになったことがあって
「この人と一緒にいると安心する」
って、子ども達や選手達に《安心感》を感じさせてあげられるような指導者になりたいなって、強く思うようになった。

そんなふうに思うようになったのは
そう、あの彼女にマッサージをしてもらうようになったからだ。

彼女にマッサージをされると、体全体の力が抜ける。気持ち良さはもちろんのこと、全てを委ねられる安心感。指で触られるだけで、こんなにも気持ちが落ちつくとは。
恥ずかしい話だが、この歳になって、ここまで心の底から癒される時間があるとは思わなかった。

体だけでなく心までをもほぐし、落ちつかせてくれる。
天才、そして天性。

マッサージをしてくれる時間に彼女と他愛もない話をするのだが、身も心もリラックスしているから、自然に、何も着飾らず素直に何でも話し、彼女の話も聞くことができる。

こんな状態に、こんな心持ちに、僕は普段子ども達をさせてあげられているだろうか。
残念ながらNOだ。それは自分でもわかる。

だからこそこの間の練習で
笑いながら練習をしてる最中、彼女がふと「今、流れ星が見えた!」って教えてくれて
みんなで一緒に夜空を見上げたあの時間が、何だかとても嬉しかった。

あの瞬間、みんながサッカーのことも忘れて
安心して、一緒に空を見上げていた。

ふと、安心できる時間を、たくさんつくれるような
そんなコーチになりたい。

11歳の天才マッサージ少女が、大切なことを気づかせてくれた。

あぁ
体が疼いてきた。


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