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背景を知るだけで。世界の終わり

1994年から2003年まで活動していた日本のロックバンド、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT (ザ・ミッシェル・ガン・エレファント)

彼らのデビュー曲「世界の終わり」のライブ動画です。まずはどうぞ。

どうでしたか。デビュー曲をライブで演奏している、というだけの情報でこれを見て、何かを感じ取った方いらっしゃったでしょうか。なんでこんなに情熱的で、破壊的で、でもどこか悲しいんだろうって思った方、いましたでしょうか。

なぜこのギタリストは、こんな表情でギターを弾いているんだろう、と。

実はこのライブ、2003年に幕張メッセで行われた彼らの解散ライブ。そしてこの「世界の終わり」をアンコールの一番最後に演奏した。つまり彼らミッシェル・ガン・エレファントとしての最後の曲が、デビュー曲「世界の終わり」だった。

バンド最後の曲。もうこれで解散。それを聞くと、ギター「アベフトシ」の悲しい表情の理由を少しは想像できるかもしれないですよね。そして解散ライブの一番最後の曲で、彼のギターは突然弦が切れる。なんという運命。

ミッシェル解散後はギタリストとしての活動の場所がほぼ見つからず、故郷の広島でペンキ屋をしていたというアベフトシ。そんな彼を見かねて、同郷の吉川晃司が声をかけ、2008年の年末に行われた自身のライブでギターを弾かせ、ギタリスト・アベフトシを華麗に復活させた。

しかしその7ヶ月後。2009年7月22日、アベフトシは42歳の若さで亡くなります。

解散ライブでのあの顔、そしてギタリストとしての命を暗示するかのように最後に切れた弦。それでもアベは弾き続ける。その後に訪れる、あまりにも若すぎた死。消えてしまう前に一瞬燃え上がる、炎のように。

その背景を知った上で、もう一度この「世界の終わり」を観てみて下さい。

どうでしたか。

全然違いますよね。

そこに見えている表面上のことだけでなく、その裏にある壮大な背景、ストーリー、経緯、そして未来の今だからこそわかる、この先に訪れてしまう悲劇。

全て知った上でこの動画を観ると、同じ動画でも見方はまるで変わってくる。

それまでMCでまるで喋らなかった彼が、この日の去り際にボソッと言った「ありがとう」の言葉も、余計に悲しく聞こえてしまう。

見えないものにこそ真実がある。見えないものに情景を浮かべ、想いを馳せる。たまたま音楽を例にとって書いたけれど、どんなジャンルでもどんなものでも、どんな人にでも、これは共通することだと思うんです。

見えないものが見える人、になりたい。
人の「それまで」と「これから」に、想いを寄せられる人でありたい。

Understand とは、をもう一度考える機会に。


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