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文系のための超基礎医薬講座5「花粉症ではなんで鼻水がでるの?」

こんにちは、くらです。
文系出身でMR(医薬情報担当者)を始め医療関連業務を目指す人のために、医薬の超基礎をお話していきます。

私は、ある外資系製薬企業で、MR教育を約25年担当してきました。その中には、文系出身者も多くいました。
そこでの経験を、これから医療関連の仕事を目指す方々のためにお伝えしたいと思います。

といっても、目指している人はかなり勉強されていると思いますので、私が新人MR教育で、これは基礎中の基礎だけど、なかなか知る機会がないことだなと思ったことを紹介していきたいと思います。

今回は、花粉症の方が悩む原因の一つ、「鼻水」についてです。

鼻水の正体


私も花粉症で、ずっと薬の世話になっていました。

ですが、近年、鼻水の出方が弱くなったのです。

原因は一つ。歳を取ったから((笑)いや(涙)?)。

鼻水には、鼻の粘膜にある分泌腺から出る分泌液と、鼻の血管の透過性の亢進による血漿成分からなります。

花粉症では血漿成分が8割で、サラサラした鼻水の場合が多い。

副鼻腔炎などの感染症では、ウイルスや細菌による炎症によって、ねばねばした鼻水や色の着いた鼻水が多くなる。

花粉症のメカニズム

花粉症では、鼻の粘膜から入った花粉を抗原(antigen)と認識し、それに対する抗体(antibody)IgEが作られる。

IgEのIgは、Immunoglobulinの略、つまりImmunoで免疫、globulinで抗体、よって免疫で作られる抗体のこと。

IgEはアレルギー反応に関与する抗体で、アナフィラキシーショックにも関与している。

花粉を抗原としてT細胞(Tcell)、B細胞(Bcell)などのリンパ球が認識し、抗体(IgE)が作られる。

このIgEは、白血球の一つである、肥満細胞(mast cell)と結合し、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、、鼻水、鼻づまり(鼻閉)、目の痒み・充血などの花粉症の症状を出現させる。


厚労省資料より

前回説明したヒスタミンの作用が、目に働くと目の血管が拡張して赤く見える。(充血)
鼻に働くと、鼻の血管透過性が亢進し、血漿成分が血管から外へ出て、これが鼻水となる。
血管から出た水分は、鼻の中の組織にも貯留し、これによって鼻の奥が腫脹し、鼻づまり(鼻閉)となる。

厚労省資料より

(参考)
厚労省資料
日本薬学会 環境・衛生薬学トピックス
Journal of Japanese Biochemical Society 87(6): 766-769 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870766





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