メモ-論文(海外)(タバコ系)注意欠陥/多動性障害(ADHD)を持つ青年における急性ニコチン投与が行動抑制に与える影響
"Effects of acute nicotine administration on behavioral inhibition in adolescents with attention-deficit/hyperactivity disorder"
(日本語訳:注意欠陥/多動性障害(ADHD)を持つ青年における急性ニコチン投与が行動抑制に与える影響)
https://www.researchgate.net/publication/8620474_Effects_of_acute_nicotine_administration_on_behavioral_inhibition_in_adolescents_with_attention-deficithyperactivity_disorder
著者:
Alexandra S. Potter, Paul A. Newhouse
所属組織:
University of Vermont, Clinical Neuroscience Research Unit, Department of Psychiatry, College of Medicine, Burlington, Vermont, USA
研究の目的
この研究の目的は、急性ニコチン投与がADHDを持つ非喫煙の青年における行動抑制にどのような影響を与えるかを評価することです。特に、ニコチンが認知/行動抑制、注意力、短期記憶に与える影響を調査しました。
実験の内容と方法
実験デザイン: 二重盲検クロスオーバー試験
サンプルサイズ: ADHD診断を受けた非喫煙の青年8名(14〜17歳、平均15.2±1.3歳)
実験方法:
薬物投与:
ニコチン(7 mgのニコチンパッチ)
メチルフェニデート(経口摂取)
プラセボ
評価項目:
Stop signal task (SSRT)
Stroop task
High–low imagery task
主観的および客観的評価(Visual Analog Battery, Physical Symptom Checklist, Profile of Mood States)
結果
Stop signal task (SSRT):
ニコチンとメチルフェニデートはどちらもSSRTを有意に改善しました(p<0.05)。
一方で、反応時間(GORT)や正確性には薬物投与による影響は見られませんでした。
Stroop task:
ニコチンはプラセボと比較してストループ効果を有意に減少させました(p<0.05)。
メチルフェニデートではこの効果は観察されませんでした。
High–low imagery task:
ニコチン投与中に低イメージ語の学習が有意に改善しました(p<0.05)。
メチルフェニデートでは有意な効果は見られませんでした。
結論
ADHD症状の改善:
ニコチンはADHDの青年において、行動抑制および認知制御の改善に寄与する可能性が示されました。具体的には、ニコチンがSSRTとストループタスクの成績を向上させることが確認されました。
自己治療の可能性:
ADHDを持つ青年がニコチンを使用することで、症状を自己治療する傾向がある可能性が示唆されています。ただし、長期的な健康リスクも伴うため、慎重なアプローチが必要です。
ニコチンとメチルフェニデートの比較:
ニコチンとメチルフェニデートは共にSSRTの改善に効果がありましたが、ストループタスクや低イメージ語の学習においてはニコチンの方が効果的でした。これは、ニコチンがADHDの特定の認知機能に対して有益な影響を持つ可能性を示しています。
この研究は、ニコチンがADHDの症状管理に有益な効果を持つ可能性があることを示しており、今後の治療法の開発に向けた重要な知見を提供しています。
参考文献:
Potter AS, Newhouse PA. Effects of acute nicotine administration on behavioral inhibition in adolescents with attention-deficit/hyperactivity disorder. Psychopharmacology (Berl). 2004 Nov;176(2):182-94. DOI: 10.1007/s00213-004-1874-y(Potter_2004).
研究の目的
この研究の目的は、急性ニコチン投与がADHDを持つ非喫煙の青年における行動抑制にどのような影響を与えるかを評価することです。特に、ニコチンが認知/行動抑制、注意力、短期記憶に与える影響を調査しました。
実験の内容と方法
実験デザイン: 二重盲検クロスオーバー試験
サンプルサイズ: ADHD診断を受けた非喫煙の青年8名(14〜17歳、平均15.2±1.3歳)
実験方法:
薬物投与:
ニコチン(7 mgのニコチンパッチ)
メチルフェニデート(経口摂取)
プラセボ
評価項目:
Stop signal task (SSRT)
Stroop task
High–low imagery task
主観的および客観的評価(Visual Analog Battery, Physical Symptom Checklist, Profile of Mood States)
結果
Stop signal task (SSRT):
ニコチンとメチルフェニデートはどちらもSSRTを有意に改善しました(p<0.05)。
一方で、反応時間(GORT)や正確性には薬物投与による影響は見られませんでした。
Stroop task:
ニコチンはプラセボと比較してストループ効果を有意に減少させました(p<0.05)。
メチルフェニデートではこの効果は観察されませんでした。
High–low imagery task:
ニコチン投与中に低イメージ語の学習が有意に改善しました(p<0.05)。
メチルフェニデートでは有意な効果は見られませんでした。
結論
ADHD症状の改善:
ニコチンはADHDの青年において、行動抑制および認知制御の改善に寄与する可能性が示されました。具体的には、ニコチンがSSRTとストループタスクの成績を向上させることが確認されました。
自己治療の可能性:
ADHDを持つ青年がニコチンを使用することで、症状を自己治療する傾向がある可能性が示唆されています。ただし、長期的な健康リスクも伴うため、慎重なアプローチが必要です。
ニコチンとメチルフェニデートの比較:
ニコチンとメチルフェニデートは共にSSRTの改善に効果がありましたが、ストループタスクや低イメージ語の学習においてはニコチンの方が効果的でした。これは、ニコチンがADHDの特定の認知機能に対して有益な影響を持つ可能性を示しています。
この研究は、ニコチンがADHDの症状管理に有益な効果を持つ可能性があることを示しており、今後の治療法の開発に向けた重要な知見を提供しています。
参考文献:
Potter AS, Newhouse PA. Effects of acute nicotine administration on behavioral inhibition in adolescents with attention-deficit/hyperactivity disorder. Psychopharmacology (Berl). 2004 Nov;176(2):182-94. DOI: 10.1007/s00213-004-1874-y(Potter_2004).
研究の結論とその詳細
研究の目的
この研究は、急性ニコチン投与がADHDを持つ青年の行動抑制、注意力、短期記憶に与える影響を評価することを目的としています。特に、ニコチンが認知機能や行動抑制にどのように作用するかを調査しました。
実験の内容と方法
実験デザイン: 二重盲検クロスオーバー試験
サンプルサイズ: ADHD診断を受けた非喫煙の青年8名(14〜17歳、平均15.2±1.3歳)
薬物投与: ニコチンパッチ(7 mg)、メチルフェニデート(経口)、プラセボを使用
評価項目: Stop signal task (SSRT)、Stroop task、High–low imagery task、Visual Analog Battery、Physical Symptom Checklist、Profile of Mood States
主要な結果
行動抑制の改善:
Stop Signal Task (SSRT): ニコチンとメチルフェニデートの両方がSSRTを有意に改善し、反応を制御する能力が向上しました。
Stroop Task: ニコチンはプラセボと比較してストループ効果(色と単語の一致度を測定するタスク)を有意に減少させ、注意力のコントロールが向上しました。メチルフェニデートではこの効果は見られませんでした。
High–low Imagery Task: ニコチン投与中に低イメージ語の学習が有意に改善されました。メチルフェニデートではこの効果は見られませんでした。
気分と注意力の改善:
ニコチンは気分の安定に寄与し、注意力の維持や情報処理速度の向上が見られました。POMS(気分プロフィール状態)においてもニコチンが気分を安定させることが示されました。
結論
ADHD症状の緩和: ニコチンがADHDの青年に対して行動抑制および認知制御の改善に寄与することが確認されました。これは、ADHDの症状管理におけるニコチンの潜在的な有効性を示しています。
自己治療の可能性: ADHDを持つ人々がタバコを使用することにより、症状を自己治療している可能性が示唆されます。ニコチンが注意力や行動抑制を改善するため、タバコが一時的な緩和手段として機能している可能性があります。
詳細な説明
ニコチンの効果: ニコチンはドーパミン作動系に影響を与え、注意力や情報処理速度を改善します。これにより、ADHDの症状が緩和される可能性があります。特に行動抑制タスク(SSRT)やストループタスクにおける改善が顕著であり、ニコチンが認知機能の特定の側面に対して有益であることが示されました。
メチルフェニデートとの比較: メチルフェニデートも行動抑制の改善に効果がありますが、ストループタスクや低イメージ語の学習においてはニコチンの方が効果的でした。
さらなる研究の必要性
この研究結果は、ニコチンがADHDの症状管理に有効である可能性を示していますが、長期的な使用は依存や健康リスクを伴うため、慎重なアプローチが必要です。今後の研究では、より大規模なサンプルと長期的な影響を評価することが重要です。
感想-ADHD症状に対してニコチンが注意力を上げ、行動制御しやすい状況を作り出している可能性は高いと考えた。サンプル自体はやはり少ないので、さらに論文を調べたり、対象人数が多いものが知りたい。もともとはADHDの人は定型発達者の人の7倍煙草を吸っているというような、かなりADHD症状を持つ人が煙草を吸っているという内容の論文は沢山ある。
考えてみると
1.ADHD症状を持つ人は定型発達よりタバコを吸っている人がかなり多い
2.ADHD症状を緩和させている可能性がタバコにはある可能性がある
(論文が結構出てくる)
ADHDの人は煙草を吸うと、無意識に症状が和らぐことを知っているのでは?と考えた
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