『緑の窓口 樹木トラブル解決します』

下村敦史さんの作品。

市役所に新設されて「緑の窓口」の配属になった天野と先輩の岩浪。

2人はある日、樹木医の柊紅葉と出会う。


天野は花言葉をたくさん知っていて、さりげなく披露できる知識があっていいなと思った。

クヌギの木が倒れた原因を突き止める話が印象に残っている。

天野と紅葉はいいペアだと感じた。

紅葉と紅葉の母の過去のわだかまりが解決して本当に良かった。


印象に残っている文

「俺ら、窓際職か?」「正確には壁際ですね」

「じゃあ、どれほどのもんか俺が試してやる。薔薇!」いきなりのクイズ開始! 僕は慌てずに答えた。「“愛情”です」「キク」「“高貴”」「アジサイ」「“冷酷”」「んー、ガーベラ」「“希望”」

「スギは植林に適しているんです。枝が広がる広葉樹は、生育環境を考えたら百メートル四方に百本ほどしか植えられませんが、針葉樹のスギは二千五百本は植えられます」

「木が傾いた場合、針葉樹は前側を太らせ、下から押し上げるようにして体を支えます。前に倒れそうになった人間が一歩を踏み出すようなイメージでしょうか。ですが、クヌギのような広葉樹は逆なんです。傾きの反対側を太らせ、後ろ側へ引っ張るようにバランスを取るんです」

「いえ、排気ガスではなく……“踏み圧”で土壌が固くなっています。透水性や通気性が悪くなって、根が呼吸困難に陥るんです。たぶん、樹木のそばを通るトラックのタイヤです。人の体重ではここまで固くなりませんから」

「サクラは六百種類以上の品種があるので、正確に樹種を見分けられる人は少ないです」

「先輩。根回しってのは慣用句の話じゃなく、樹木の植え替えの前に意図的に根を傷つけて、そこから新しい根を出させる作業のことなんです」

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