『あなたは、誰かの大切な人』


原田マハさんの作品。以下の話が収録されている。


最後の伝言

月夜のアボガド

無用の人

緑陰のマナ

波打ち際のふたり

皿の上の孤独


「最後の伝言」に出てくる父親は、最初はとても嫌な人だと思っていたが印象が変わった。「月夜のアボガド」が一番好きな話だ。作中に出てくるアボガド料理がとても美味しそうだと思った。

印象に残っている文

絵に描いたような夫唱婦随、骨董品のようなカップルだ。

ねえ、マナミ。人生って、悪いもんじゃないわよ。神様は、ちゃんと、ひとりにひとつずつ、幸福を割り当ててくださっている。誰かにとっては、それはお金かもしれない。別の誰かにとっては、仕事で成功することかもしれない。でもね、いちばんの幸福は、家族でも、恋人でも、友だちでも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら。大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにする。笑ってしまうほど単純で、かけがえのない、ささやかなこと。それこそが、ほんとうは、何にも勝る幸福なんだって思わない?

目の前でぴしゃりとドアを閉めるような物言いだった。

あまりにも近場過ぎると、いつでも行けるという気安さもあって、かえってなかなか足が向かないものだ。

行くべきとき。それがあなたにとって「いま」ならばーーいま、行くべきよ。

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