『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』


東山彰良さんの作品。
登場人物の名前が面白い。
「有象くん」「無象くん」「ビッチちゃん」「イケメンくん」「引き立てちゃん」
「二番手くん」「ダンベル先輩」「モテすぎくん」「女王ちゃん」
実際に大学で起こりそうな話がいくつもあり、読んでいて非常に面白かった。
人間関係の細かい駆け引きが面白く描かれていた。
 
 
印象に残っている文

有象くんと無象くんのような敗者たちはピエロに徹するか、さもなければサークルを去るしかない。そして、かわいこちゃんたちに男扱いされない負け犬に成り果てて、大学四年間を棒にふるのだ。

恋に関して仁義を云々するのは、餓死寸前の者にテーブルマナーを云々するようなものなのだ。

しかし世の多くの女性がそうであるように、引き立て役ちゃんも真実に目を向けるより、自己嫌悪に目をつむってそのときそのときの偽りの友情を大切にしてきた。そのほうが楽だからである。

医者には看護師、パイロットにはキャビンアテンダント、ポン引きには売女、そして二番手くんにお似合いなのはやはり引き立て役ちゃんだということか。

温厚な教授というものは、往々にして学生のことなどなんの興味もないのだ。

ベンチプレスで三十キロというのは、他人から「気にすんな」と慰められるレベルなのだ。

世界をだめにするやつは、いつだって自分にだけふりむいてくれない、たったひとりの異性なのだ。

正味の話、バブル期の軽佻浮薄路線をさらに水で薄め、体臭を抜き取り、SNSに喜怒哀楽、冠婚葬祭、生殺与奪のいっさいがっさいを委ねてしまったのが、昨今の大学生であろう。
 


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