『貴族探偵』

麻耶雄嵩さんの作品。以下の話が収録されている。


ウィーンの森の物語

トリッチ・トラッチ・ポルカ

こうもり

加速度円舞曲

春の声


現場に現れるが、捜査と推理は使用人に任せて何もしない。紅茶を飲んで、美人を口説くという貴族探偵のお話。

ただ貴族出身で謎解きが大好きな探偵かと思いきや、かなり人任せな探偵だと分かって驚いた。佐藤や田中、山田はとても大変そうだなと思った。

こうもりと加速度円舞曲がお気に入りの話である。こうもりでは、すっかり騙されてしまった。加速度円舞曲のベッドの向きを変えなかった理由について、とても納得がいった。

春の声はかなり複雑だったため、頭がこんがらがりそうになった。


印象に残っている文

ガムの包装紙を間違えて噛んだかのように、忠仁が吐き捨てる。

「刑事たちもお待ちかねのようだ。おまえの推理をご披露しなさい」

殺人事件の捜査だというのに、話しぶりが軽いのが園田の気に障った。犯人かどうかではなく、人間的にだ。他の捜査でもこういうタイプにたまに出くわすが、犯人でなくても事件の遠因となっていることが多い。逆に犯人は意外と真面目なタイプだったりして、結局被害者共々馬鹿を見る羽目になる。そしてこういう人間だけが何のダメージも受けず、のうのうと生きていく。

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