『新!店長がバカすぎて』

早見和真さんの作品。

あの山本猛店長が宮崎から帰ってきた!


京子の好きな「鰆のたたき」を食べてみたくなった。

店長が京子の父親のお店のメニューについて、アドバイスしているのが面白いと思った。

アルバイトの山本さんの採用面接の話が良かった。

石野さんがコロナ禍に求められる本の役割を語る場面は、作者から読者へのメッセージと感じた。


印象に残っている文

「あなたは日本で一番高い山を知っていますか?」「はい。ええと、富士山なんじゃないかと思います」「そうですね。では、二番目に高い山の名前はご存じですか?」「あ、それは北岳です」「そう。つまり、そういうことなんです。一番と二番の間にはこれだけの違いがある。ちなみに世界で二番目に高い山はご存じではありませんよね?」「ゴッドウィンオースティンです。いわゆるK2」「つまりそういうことなんですよね。我々が一番を目指さなければならない理由です」

まるで店長の復帰祝いのようだった。「店長の復帰祝い」という言葉に「てんちゅうさつ」というルビを振りたくなるような一日だった。

お酒をのんだらネットに触れるな。某お笑い事務所で新人が叩き込まれることだという。しかし、それはお笑い芸人のみならず、芸能人に限らず、おそらくは全人類に当てはまる。

「そう、書き手の敗北。私はいまこそ物語の出番だとわりと本気で信じているから。内容が直截的なものであるかどうかなんて関係ない。いまの世の中を過去の書き手が見通せていたかもどうでもいいと思っている。ただ、こういう有事にこそ読者に寄り添っていられる希望の物語を書いていたいって私は思ってやってきたから。私は嘆かないし、怯えない。嘆きたくなったり、怯えそうになったりしたときにがむしゃらに書いていられる小説家でありたい。読者はいるって信じてるし、次の有事に必要とされる小説をいまこそ書いていたいって本気で思ってる」


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