『エレジーは流れない』
三浦しをんさんの作品。
温泉街の土産物屋で母親と暮らす高校生の主人公、怜。
怜には寿絵と伊都子という2人の母親がいる。
本当のお母さんだろうと予想していた人ではない人が母親だった。見事外れてしまった。
物語の最後に「エレジー」という言葉が出てきて、なぜだかわからないがほっとした。
修学旅行に来ていた他校の生徒と仲良くなってしまうシーンが面白かった。
印象に残っている文
男子高校生が母親と二人で暮らすのはなかなか大変だ。なにしろ相手はデリカシーというものを解さず、すぐに「あららー」とにやつく生き物なのだから。
「『若さとは夢や希望に満ちあふれたものだ。自分もそうだった』って都合よく記憶を塗り替えて過去を美化してただけ。加齢よ、加齢。若いひとに意欲や覇気を求めるじじばばって、みんなこの罠にはまってんだわ、きっと。」
「なんか息苦しくて、もうすぐ完成って絵をたまにワーッと塗りつぶしたくなる」
終業式もすみ、明日から冬休みだと思うと、少し気持ちが高揚した。正体不明のあせりと期待に急きたてられるような夏休みとちがって、のんびりしたムードに浸れるし、冴えて冷たい空気をきらいではないからだ。
大人の男はブラックをたしなむ気がする。しかも大事な話をしようという局面なのだ。牛の乳などという赤ちゃん牛の飲み物で苦さを誤魔化している場合ではない。
「親ってなんで、あんなわけわかんない生き物なんだろうな」
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