『ブラックボックス』

砂川文次さんの作品。
砂川さんの本を読むのは初めてだ。

第166回芥川賞受賞作。

自転車配達人の物語。「マスクを下げる」などコロナ禍の描写があった。そのような記述を見ると、この話が現実的に思えてくるから不思議だ。どうしても堪えきれない衝動に駆られて、暴力を振るってしまう主人公。

刑務所でナットを見つける場面がとても印象に残っている。

「ふつうの人生」を送ることを周りの人は求めているが、「ふつうの人生」って一体なんだろう? 「周りが期待する人生」がふつうの人生になっているのではないかと思った。



「いい加減なやつですからね」とか「そういうやつですからね」とか一言いえばいいのに、言うべきことは分かっているのに、サクマは耐えてしまう。


歩合制をとる仕事はどんなものでもそうだろうが、待機が一番つらい。次が雨だ。


SNSでも「三十までにしておくべき」みたいな文言を普通の人々が発信して、こちらの気を滅入らせる。


罰は受けている瞬間や受けた後なんかよりも、次受けるかもしれないというのが一番怖いのだ。


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