『世界の美しさを思い知れ』

額賀澪さんの作品。双子の弟が突然亡くなってしまったら、どれだけ苦しいことか。残された者たちには、亡くなった理由を探すことしかできない。自分にそっくりな人間がもう一人いるという感覚はどのようなものだろうか。


印象に残っている文

嘘は言っていないのに全身が痒くなって、誤魔化すように箸を手にした。


時計は十一時間しか進んでいないが、二十時間近い旅をしてきた。消えた七時間は、この疲労感に置き換わったのかもしれない。


「人間に近すぎるロボットは、人間じゃない部分が際立っちゃって、不気味に見える」


手を伸ばせば届くところにいるのに、とても遠くに向かって語りかけるような口調だった。


取引先に提出した見積書に凡ミスを見つけてしまった、という顔を互いにしていた。

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