『沖晴くんの涙を殺して』

額賀澪さんの作品。

ガンで余命一年の宣告を受けた京香と、震災によって「喜び」以外の感情を失った高校生・沖晴の物語。

沖晴は徐々に「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐怖」を取り戻していく。


初めは特殊能力系の話であると思っていた。

ところがその特殊能力は震災で家族を失ってしまったことで身につけたものであるとわかった。

京香が亡くなるとわかっていながらも、ページを読み進めていくのが悲しかった。


印象に残った文。


四人掛けのテーブルに沖晴がいるのは、何だか奇妙でおかしい。クレープに普段は絶対に注文しないトッピングがのっているみたいだった。
「そういうものだよ。人が1人死んじゃって、死んじゃった人も残された人も、誰も後悔がないなんて、そんな幸運なこと滅多にないよ」
「人は、特に理由もなく死ぬの。むしろ生きてる方が凄いんだよ。私達って、きっと、運よく、死んでないだけなんだよ」

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