『ひゃくはち』

早見和真さんの作品。甲子園出場を目指す神奈川県の京浜高校野球部の物語。


野球ボールの縫い目が108であるとは知らなかった。

クリスマス会が印象に残っている。普段はとても厳しい顧問のTが陽気になっていて、なんだか安心した。

ベンチに入れるか入れないか瀬戸際の雅人とノブの二人が、チームのために尽くす姿を見てメンバーに入った選手は頑張らなければと思っただろう。

相手のサインを解読する雅人がすごいと思った。


印象に残っている文

これは僕の得意技だ。相手の名前を聞いたらとりあえず「いい名前」と褒めて、その上で「親に感謝だね」と続けるのだ。名前を褒められてイヤな気持ちになる女の子はこれまでの経験上まずいない。

今日初めて見たその顔は、涙で化粧がはがれ落ち、まるでシャガールの描いた絵のように、色んな色が混ざり合っている。

「甲子園メンバーを予想する」というこのなんの生産性もない作業を、この冬、僕たちは何度繰り返してきただろうか。何度やっても結果は同じはずなのに。


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