『悪と仮面のルール』

中村文則さんの作品。

邪な家系に生まれた文宏は顔を整形して、新谷弘一という人物になりすます。

殺人を犯した人間の抱える闇が印象に残っている。

東野圭吾さんの「白夜行」のように、愛する人を守るために罪を犯す男。

顔を変えた文宏と香織が話をするシーンがとても印象に残っている。小さい頃から知っている人が顔を変えて目の前に現れていたら、私は気付けるだろうか?

印象に残っている文

彼はあの久喜家の子供だが、自分達と同じように滑稽な部分があり、真面目より不真面目に近い人間であるのだと。たとえば、パンクを危惧するほど太り、「具体的に言うと」が口癖であるのに全く具体的なことを言わない担任の教師に具体的爆弾というあだ名をつけ、授業中、彼の具体的の回数を数え、クラスメイトに教えた。

「覚えておくといい。……幸福とは、閉鎖だ」

「……ねえ、鏡の向こうに、世界中の人間がいると思わない?」

「今、多くの人間が、あらゆるものを侮蔑したがっている。侮蔑できる対象を無意識で探してる。俺達のやってることは、そういった大勢の人間達の無意識の願望を具現化することなんだよ。」

「だから、あなたは幸せにならないと駄目だ」

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