『骨を彩る』

彩瀬まるさんの作品。

指のたより

津村が亡き妻と行っていた「自分が目にしたもの、いいと思ったものを妻に送る」という
習慣がとても素敵だと思った。確かに綺麗な風景や嬉しいことなどがあったときには、誰かに共有したいという気持ちになる。
また、亡き妻の好きな言葉を書き溜めるという趣味も素晴らしいと思う。

古生代のバームロール

柿崎先生の葬式のシーンが出てくる。自分の葬式に教え子か来るような、そんな先生を目指したい。女子のクラス内での立ち位置の話がとても興味深かった。

ばらばら
「古生代のバームロール」で出てきた玲子が主人公。仕事も子育てもうまくいっているように見えたが、そうではなかった。義理の父親の優しさに切なさを感じた。

ハライソ
自分の気持ちをなかなか上手く言い出せない浩太郎に共感した。

やわらかい骨
津村親娘の話。小さいころに親が亡くなってしまうという経験が自分にはないが、自分が思っている以上に辛いことだと思う。何か変わったことをするだけでいじめの対象となる思春期特有の雰囲気は、とても嫌なものだと今でも思っている。

「鳥の中にも、いろいろいるんだ。いつも周りを見て、カラスが来たら真っ先に飛び立つやつ。そいつが飛んだらつられて飛ぶやつ。危険がないと知ったら真っ先に寝るやつ」
指のたより
彼らは、いや、彼らだけではなく大抵の人間は、死者にまつわる風景を無意識に飴玉にする癖があるのだ。手前勝手に解釈し、センチメンタルな甘さをしゃぶり、ねぶる。
古生代のバームロール
多かれ少なかれ、女子高生はクラスの中で自分が浮き立つための方法を探す。
古生代のバームロール
「富士山みたいなもんだよ。縁がある奴はあまり深く考えずに登る。縁がない奴は一生登らない。ただ、登っちゃえばとりあえずどこに休憩所があるとか、何合目ではこんな感じとか、大体の道のりがわかるから、無闇に悩んだり、実物より大変な想像をしたりはしなくなる」
ハライソ
「大事にされてるって、なくさないと、わかんないんだ」
やわらかい骨
「嘘をつく子って、嘘をつかなきゃなんないくらい、なんらかの形で追い詰められている子に、多いよ」
やわらかい骨
「強く、強く、なんのうたがいもなく怒ったり、責めたり出来る、のは、その物事に関わりがない人」
やわらかい骨
私を取り巻く大人たちは、哀れんでいたのではなく、ただ、そのその途方もない理不尽について、私が気づくよりも先に知っていたのだ。
やわらかい骨

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