照準の向こうに、もう一つのeスポーツがあった。1.俺たちが観たいのは本編だ
こんにちは。昨年まで観ていた各リーグに、新シーズンの足音が聞こえてきて少しずつウキウキしている”観るe”あでりーです。
年末の投稿で「eスポーツリーグを比較分析する!」なんてぶち上げてしまったせいではないのですが、今まで観てきたリーグのオフシーズンということもあって、最近は他のリーグもさわりくらいをつまみ食いしています。今回はFPS/TPSを観たので、照準を通して見えてきたことをつらつらと書かせてください。(この文章を書き始めたくらいにVAROLANTの世界大会でのZETA DIVISIONの活躍のニュースが飛び込んできました。VAROLANT観てない、この波に乗れんかった。。。)
最近『バズる文章は先頭に結論を書く』というのを観たので、まずは。
「俺たちが観たいのは本編だ」
例によって各リーグの略称です。
BPL:BeatmaniaIIDX プロリーグ
SFL:ストリートファイターシリーズ プロリーグ
RSPL:RAGE シャドウバースプロリーグ
LJL:League of Legends 日本プロリーグ
PMJL:PUBG Mobile 日本プロリーグ
RJL:Rainbow 6 Siege 日本プロリーグ
1.知らないゲームとの出会い
先日も軽く触れましたが、LJLは少しだけ観て「これ以上はいいかな」と止めてしまいました。
もちろんルールが分からないせいもあるのと、他の理由は後述するので省略しますが、番組を視聴したり調べたりしているうちにどうもチープ感を感じてしまって。。。
よしもと芸人さんをMCに起用したり女性リポーターを起用したりして明るいイメージを出しているにもかかわらず、なぜそう感じてしまったのか。
あくまで私見ですが、世界との差を歴然と感じさせるニュースが漏れ伝わってしまい、日本がマイナーな地域である、二部リーグ的な印象を抱いてしまったからというところが大きいです。SFLにしろRSPLにしろBPLにしろ、基本的に日本がトップランナーであるプロリーグしか見ていなかったので。
2.恐るべきX-MOMENT
続いてPMJLを観てみました。PMJLも世界的タイトルで、日本は諸外国に追いつけ追い越せと頑張っているポジションにあたります。
PUBGに関しては若干ルールを知っていて「ドン勝とか懐かしいなー」と思いながら番組を見始めたのですが、
X-MOMENT力入ってんなー。
まずはド派手な賞金額、スタジオの凝り方、そして「世界への挑戦!」と挑戦者ポジションをポジティブに言ってしまうスタイル。LJLと比べてマイナー感を感じさせない、『おっこれは凄そうだから観てみようや』と思わせる出来になっていました。
そして試合開始前に紹介される数々の配信。
・当然メイン配信。(5時間)
・全体像が分かるマップ配信。(4時間)
・全チーム分。。。とはいかないが、2チーム分のチーム配信。(4時間)
・Vtuberや芸能人の方がワイワイ観戦するENJOYチャンネル。(4時間)
導線の豪華さ、すっげー。
これだけの導線を用意してもらいながら...うーん、なかなか最後まで観続けられないな??
3.なぜ観続けられなかったか
実は、過去にPUBGの番組で一生懸命観ていたものがあります。AbemaTVが過去にやっていた「賞金首:PUBG」です。
同じゲームを取り扱いながらどうして視聴習慣に差が出るのか。まぁ番組が2時間だったということもありますが(配信時間の重要性については過去投稿をご覧ください)
大きな理由として、賞金首は”スターシステムである”ことが挙げられるのではないかと思います。
PUBGは数十人の中からたった1チームの「ドン勝」(生き残り)を決めるゲームです。
PMJLは16チーム*4人の64人全てが(ゲームだけではなくリーグのシステムとしても)等しく頂点を目指しています。
一方賞金首は番組名のとおり、勝てば賞金がもらえる3組6人の”賞金首”と挑戦者1組2名が戦いポイントを競い合うよう、ゲーム外システムが別に作られています。
さらに賞金首は毎週のように出るため視聴者に印象が残りやすく、キャラクターも浸透するようになっています。
これがPUBGの番組にどう影響を与えるのか。
先ほど申しあげたとおりPUBGは数十人が同時プレイし、FPS/TPSの宿命として視点が人数の数だけあります。PUBGを1画面で中継する場合、(俯瞰できる代わりに迫力はないマップ配信を除き)基本的に1人の視点しか同時に表示できず、その時々の注目場面をパッパッと切り替えていく形になります。視聴する側からすると一つの場面に集中できず、何が起こっているのか把握しにくい。
これが賞金首のシステムだと注目プレイヤーが大きく絞り込まれているため、特に序盤においてカメラの切り替えが少なくなります。観るポイントが絞り込まれており、ゲームをよく知らない人~初心者にはすごく観やすくなっています。
それゆえに、(煽りVなどで)事前説明された選手のキャラクターを実際のプレイに落とし込みやすい。私としてはここがすごく重要だと思っていて、選手ならではのプレイが分かってくると、難しいプレイングが分からない初心者でも自ずとゲーム画面へ没入しやすくなっていきます。それが視聴習慣につながってくる。
そして、それがメイン配信で行われているということが重要です。前章で導線について触れましたが、初めて観ようとする人がどの配信を観ると思いますか?メイン配信ですよね(例外:ゲームには興味がなく、出演者のファンであればENJOYチャンネルから観るのはありうる)。
各配信以外にチームの魅力を紹介するショート動画などもアップされていますが、最初に興味を持った人がそこから観る可能性はあまり高くない。であれば、メイン配信の中で選手のキャラクター付け、試合中での選手ごとのプレイの特長の印象付けをこなしていく必要がある。結局導線がいくつもあったところで、未プレイ者・初級者の取り込みと視聴習慣付けにはあまり寄与しない、と私は思っています。
PMJLは(チーム数が多くて)まずチーム紹介のところで選手読み上げに留まっているところがあり、チーム数が多くてしょうがないっちゃしょうがないんだけど、もったいないなぁと思っていました。
4.恐るべきX-MOMENT Season2
そんなPMJLも2022年度版のSeason2が始まりました。Season2の配信では導線がシンプル化&強化されていました。私の想い。。。とは関係ないと思いますが、実況解説の方も「チーム音声は入れてくれと言っていた」ので、Seasonの変わり目に見直しの検討が行われたのは想像に難くないでしょう。
・メイン配信の強化。場面に応じて多画面化(マップとプレイ画面の同時表示)、加えてメイン配信中でチーム音声が入るようになり、選手のプレイがより身近に感じられるようになった。
・地上波番組「CHOTeN」の開始。芸能人の起用とともに、番組では試合内容・結果には触れず選手のキャラクター掘り下げに集中。
特に地上波の番組開始には度肝を抜かれました。1回きりのスペシャルではなく毎週のレギュラー放送。X-MOMENT本気だな。
(もしもCHOTeNとメインが連動して、メインのプレイ画像をCHOTeNで紹介したプレイヤーメインに絞り込むような仕掛けがあれば、もっとのめりこんで観るようになったかもしれません。もっとも、注目プレイヤーが開始5分で退場しちゃうリスクはありますが。)
5.終わりに。。。?
さて、ここまでPMJLに言及しておきながらPMJLは観続けることが無くなりました。同じX-MOMENTでありながら、RJLはちょこちょこ観ているのですが。
この2つの違いは何か。そして、FPS/TPSと他のeスポーツの違いは何か。いずれ後編を書こうかと思います。題して、
「FPSはサッカーで、BPLは野球だ」。
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