eスポーツにおける"ファイナル"について考える

こんにちは。”観るe”あでりーです。先日のSFLグランドファイナルを観てただただ感動しました。激戦に次ぐ激戦、相次ぐ逆転、そして最終戦のエモさに最後は勝った方も負けた方も涙、涙。。。本当に観て良かった。
というわけで今回のテーマはそんな感動に冷や水をぶっかける、「eスポーツにおける”ファイナル”について考える」です。

本文に入る前にいつもの略称注釈です。先日LJL(League Of Legendsの日本国内リーグ)も少し観てみましたが、これはまだまだ語れるレベルには至ってないです。ちょっとMOBAは無理かなー。
・BPL:ビーマニプロリーグ
・RSPL:シャドウバースプロリーグ
・SFL:ストリートファイターVプロリーグ

0.その前に

よろしければ以下の記事をご覧ください。リアルスポーツでも大手のJリーグを襲った2ステージ+チャンピオンシップ制への移行に関して、それが解消された後からの回顧の記事です。

ここで注目頂きたいのは1ステージ・2ステージの違いではなく、「優勝争いのヤマ場がメディア露出・ファン開拓・スポンサー利益につながる」部分です。
各eスポーツのリーグは同一ゲームでもシーズンごとに1ステージ・2ステージが揺れることがありますが、最終的にステージ上位なり各ステージの最上位なり、もしくはプレイオフを経てファイナルを行うことがほとんどに見えます。ファイナルで優勝チームを決める仕組みを設けている理由は、おおむね前述の通りでしょう。
この狙いからすると、ファイナルは今までリーグの戦いを追ってきたファンへのサービスコンテンツ”だけ”というわけではなく、今まで観たことが無かった層へのアピール、導入としての位置づけがあるべき姿ということになります。ちなみに私がシャドウバース始めたのはRAGE(シャドウバースの大型大会、プロ化前から存在)観てからだったなー。

1.レギュレーションとして

ところで、ファイナルのレギュレーションを通常のリーグ戦と比較してみましょう。

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こうしてみると普通はファイナルは通常レギュレーションよりも試合数が多くなっています。ところで、SFL2021のファイナルは準決勝、決勝共に。。。ああ言えない。
しかし、本当に「普通」でしょうか?こんな例を追加してみましょう。

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いかがですか。スポーツ全体に広げると「普通は」通常のレギュレーションとファイナルのレギュレーションは同一、むしろ1発勝負に”短縮”された形であっても受け入れられていると言えるのではないでしょうか。もちろんサッカーも1試合だけで必ず優劣が決まるものではなく、むしろ”ジャイアントキリング”なんて言葉が産まれるほど、1発勝負は水物と思われているにも関わらず、です。
なのに、なぜeスポーツはファイナルで試合数を増やすのか。もちろん施行回数が増えれば実力が反映されやすくなりますが、それはリアルスポーツでも同じこと。競馬は一日2レースもさせるのは馬が可哀そうですが。
そこで思い当たるのが、アーケードにおける「連コイン」文化。eスポーツだからリアルスポーツより疲れないでしょ、みたいな言われ方はしたくないにしろ、例えばストリートファイターでは勝ち続ける限り連続で試合を続けることができます(なので厳密には「連コイン」じゃないですけど、わかりやすい用語として挙げたので許して)。疲労度とは関係なく、ゲーマーに「ゲームは繰り返してプレイするもの」という共通認識があるために、ファイナルで試合数が増えることの許容度が高いのではないかと考えています。
私個人としては冒頭で話したとおりファイナルがライト層への導入ということを考えると、いつもと違うレギュレーションで勝敗を決めるというのはあまりよろしくないのではないか?という疑問を持っていたりします。しかしながら、次章で語る理由から「それでもまあ良いかな」と思っています。

2.視聴パッケージとして

さて、前章では試合数とレギュレーションに注目して考えてみましたが、これを視聴パッケージ、1番組の長さとして見てみましょう。リアルスポーツだと放送は専用チャンネルや配信などもあったりしますがここではTV放送とし、eスポーツは動画配信の長さとします。

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こうしてみると、eスポーツでもファイナルは通常レギュレーションと比較してかなり見やすい長さになっているのではないかと。RSPLは普段の長時間配信と比べて見やすくなっており、BPLはスペシャルライブを除けばむしろ競技部分はほぼ変わらない長さになっています。このあたりは、エンターテイメントとしてどのくらいの視聴時間が適当であるのかきちんとコントロールされており、ライト層が視聴する際に”ダレ”を防いで満足してもらえるものになっているのではないかと思います。
それだけに、冒頭褒めちぎっておいて何なのですが、SFLの8時間ってその面では疑問を持ってしまいます。もちろん有料チケットを買って会場に駆け付けたファンには金額以上の充足感を与えたことに疑いはないでしょうが、初見の人が配信でずっと見続けられる物になっていたのでしょうか?いや、ホントにリーグを追ってきた身からすると全部観ろ全部!捨てる場所全然ないぞ!って思いで一杯なのですが。。。
なお、シャドウバースはRSPLの開幕番組や世界大会の特集番組を地上波展開もしており、こちらは本当の初見層向けの1時間程度のパッケージになっています。このあたりは1段進んでいる感があります、もしくはお金かけてる。

3.終わりに

まぁ、リアルスポーツまで引き合いに出して今まで散々言ってきましたが、

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こんな反例もあるので気にすることは全くないのかもしれないですね。ただこうして書き連ねてみると、ファイナルはファンからのできるだけ紛れのないフェアな形で最後の決着を付けてほしいという気持ちを無下にすることなく、かつ初めて観る人もできるだけ離さないように、という想いのこもったものになっているのだなぁ、と認識を改めた次第です。じゃあ月末はRSPLのファイナル観るか!

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