照準の向こうに、もう一つのeスポーツがあった。2.FPSはサッカーで、BPLは野球だ

こんにちは。昨今はトパチャン(TOPANGAチャンピオンシップ。ストVの大会)を観ながら『格ゲー奥深ぇな。。。』(←分かってない)となっている”観るe”あでりーです。ていうかSFLといい決勝は名勝負が産まれて盛り上がらなければいけない掟でもあるんですか?ホントもうハラハラしちゃった。。。
今日は引き続きFPS/TPSの大会を観ながら感じたことを書き連ねていきます。題して
『FPSはサッカーで、BPLは野球だ』
ジャンルとリーグを並列にしておかしなタイトルですね。後々理由を述べますが。。。

それでは例によって各リーグの略称です。
BPL:BeatmaniaIIDX プロリーグ
SFL:ストリートファイターシリーズ プロリーグ
RSPT:RAGE シャドウバースプロツアー
PMJL:PUBG Mobile 日本プロリーグ
RJL:Rainbow 6 Siege 日本プロリーグ

1.PMJLとRJLを分けたもの

前編にて、X-MOMENTの本気度について語ったのち「結局PMJLは観ずRJLをちょこちょこ観ている」と書きました。

おそらく、シージがバトルロイヤルではなく1チーム:1チームであることが大きな理由であると思われます。
バトルロイヤルのPUBGと違ってシージは攻撃側と防御側の対決形式であるため、1:1の構図の方が個々のチーム・個々の選手にフォーカスがあたり、実況解説陣によるチームの紹介や選手インタビューに時間を割ける形になりやすいからです。
選手に注目したいただの一視聴者としては、そういった部分にきちんと時間を割り当ててもらえるほうがショーコンテンツとしてうれしいのです。
この辺りは前編でPMJLと賞金首との比較でも言及したところです。

2.FPSを観るにあたって

ただFPS(TPS)を観続けるうち、個人的には辛さを感じ始めていました。
こちらも前編で個をフォーカスしたうえでそのキャラクターをプレイに結び付けることが重要と述べましたが、それが難しいのです。
やはりFPS(TPS)の宿命として主観が選手の数だけあるため全体を追うことが難しく(かといってマップをみても迫力が感じられず)、あまりルールを知らない身からすると注目ポイントが見づらい。それに加えて、シージの場合は基本的にKillの瞬間が突如訪れて一瞬で終わるため、気を抜いていると何が何だかわからないうちに次のゲームへ移ってしまいます。そのあたりが辛かった。
。。。私の個人的な感想は上記のとおりですが、でもFPS(TPS)もeスポーツとして多くの視聴者を集め、確固たる地位を築いています。ひょっとして私が年だから?

3.リアルスポーツとの比較

さて先ほど私が『辛い』といったポイントは、実はあるリアルスポーツに類似していると考えています。それはサッカーです。
サッカーが個のテクニックだけではなく戦略・戦術が重要であることは近年日本にも知れ渡るようになってきました。サッカーは主観映像が存在しないためカメラワークという意味ではボールに集中して頻繁に切り替えが行われることはないものの、一方で両チームの戦術を観ようとすれば-例えばボールが前線にいるときのディフェンスの敷き方-を観ようとすればボールだけに集中した狭い映像ではわからない部分があります。
(実は私は守備的MFが好きなのですが、プレーが凄い理由がTVのカメラでは分からなさすぎるため海外の現地まで訪れたことがあります。結局実際に観ても分からんかったというオチなのですが)
もう一つの類似点として、歓喜の瞬間が突然訪れることも挙げられると思います。ゲームとはかなり時間軸が違うものも、サッカーもお茶を淹れている間にゴールとか、90分の中の10分間目を離した隙に3点といったことが起こりえます。
サッカーの人気がある欧州では、FPS(TPS)を受け入れる土壌が既にあったのでは、と妄想しています。

一方でアメリカではどうか。
アメリカの(チーム戦による)プロスポーツはよく4大スポーツと言われます。すなわちアイスホッケーのNHL、バスケットボールのNBL、アメリカンフットボールのNFL、そして野球のMLB。最近はサッカーのMLSもこれらに追いついたとみなす言説もあるようです。
これらのスポーツはプロスポーツとして一緒くたに語られることもありますが、スポーツのフォーマットとしてはそれぞれ差異があります。
【視聴ポイントの提示】
提示せず時間中に突如現れる←→明確に提示する
MLS(サッカー),NHL(アイスホッケー)←NBL(バスケ)→→NFL(アメフト),MLB(野球)
前述のとおりサッカーが流れの中で視聴ポイントが突然提示されるため時間中は視聴者をくぎ付けにすることを要求する一方、野球はピッチャーがボールを投げるタイミングで視聴ポイントが訪れます。またアメフトはクォーターバックがボールをスナップ(味方に渡す)状態からプレー開始となるので、こちらも視聴者が集中すべきタイミングは明確に示されています。
バスケについては攻守の切り変わりが激しいことと、攻める側の時間制限が厳しいことから中間的なポジションではと考えました。
【集団と個】
集団対集団←→個対個
MLS(サッカー),NHL(アイスホッケー)NBL(バスケ)←←→NFL(アメフト)→MLB(野球)
サッカーが実は集団の戦術が重要であることは述べましたが、野球に関して戦術が無いとは言わないもののピッチャーとバッターの対決に大きなフォーカスが当てられているスポーツであることは説明するまでもないかと思います。実はアメフトも、攻撃側についてはクォーターバックが戦術の中心かつプレーの起点であり、いわゆる『花形』プレイヤーとなります。実際にアメフトのスーパーボウルの歴代MVPの過半数はクォーターバックの選手です。誤解を恐れず言えば、アメフトはクォーターバック(とその使役者)vs守備チームの対決だと思っています。
アメリカではこのように多様なスポーツが受け入れられているため、FPSと同様に個対個のeスポーツ、例えば格闘ゲームのような、についても十分人気を得る下地があったのだろう、と推測します。

なおここでタイトルで嘘をついたことをお詫びします。FPSはサッカーと書きましたが、シージは1回の勝負が短く攻守も切り替わるので、どっちかというとバスケに近いかと。バトルロイヤル形式であることに目をつぶればPUBGの方がサッカーに近そう。

4.日本人に受けるeスポーツとは

さて日本ではどうか、日本人に受けるeスポーツとは。
前章と同じくリアルスポーツから観ていくと、昨今はラグビーやバレーボールもプロ化を果たしたものの、概ね人気はプロ野球とJリーグに集中しています。この両者でどちらが人気で勝るかは難しいですが、プロスポーツとしての規模を比較尺度に使うと、一時期からは衰えたもののまだまだ野球がサッカーを大きく上回っているようです。
とはいえJリーグも日本に根付いた以上日本でも多様なスポーツが受け入れられている、とは私は結論付けません。日本においてサッカーはスターシステムを用いて普及してきた歴史があるからです。曰くカズ、中田ヒデ、ケイスケホンダ。
スターシステムは視聴してほしい場所を提示して初心者にわかりやすかったのですが、スターを追いかけてスポーツを観始めた場合、スポーツは集団としての戦術面よりも個に集中してしまう、サッカーはその域を抜け出していないのではないかというのが私見です。
(なお私のスポーツ視聴習慣ももろにそれ)
そもそも日本には(あくまで物語上の話ではありますが)一騎打ちを良しとする文化がある、それも背景にあるのではないでしょうか。
よって日本では個対個のeスポーツ、格ゲー、TCGetc...の方が受け入れられやすいのではないかと勝手に思っています。そういえばサッカーは集団対集団と言及しましたが、サッカー『ゲーム』になると個対個になるのは面白いですね。
格ゲーやチーム対戦のスポーツゲームはすべてシステム上個対個にならざるを得ないのですが、パズルゲームや音楽ゲームはどうか。ここでBPLを取り上げますが、Bemaniのシステム上、根本は個人戦なので例えば陸上のように多くの選手が純粋に記録を争うなり、あるいは(アリーナモードがあるのだから)複数人間で順位を争う形式にしても良かった。にもかかわらずBPLモードまで新設して個対個の争いにしたのは、それが日本人向けであるとの判断があったからではないでしょうか。すなわち、BPLは意図的に野球的とした、と。
えっ野球的だとは思えないです?あとBPLは武器曲を『投げる』って言うし。。。

5.終わりに

さてこんなページがあります。答え合わせにちょうどいい。

個別ゲームについて言及されていますが、LOLが圧倒的と。。。全然違うじゃん!
とはいえ2020年のデータであり、今後eスポーツがどんどん大衆化することがあれば、ひょっとしてこの構図も変わるかもしれないですね。その時は集団プレイタイトルが上にくるのか個で戦うタイトルが流行るのか、年配プレイヤーを取り込みやすい過去の遺産があるコンソール/アーケード発のゲームがメインとなるのかそれとも若い層に支持されるPCゲームが覇権を握るのか。
そんなこと個人視聴者には関係ないので、これからも好きなコンテンツを見続けるだけですけどね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?