スポーツ"女子"プロと、eスポーツ"女子"プロ

こんにちは。"観るe"あでりーです。つい先日SFVのトパチャン...TOPANGA WORLD CHAMPIONSHIPが始まり、またもや動画視聴が追いつかない嬉しい悲鳴をあげています。にしてもENDINGWALKERカワイイなぁ、男の子ですけど。まぁこういう大会とかSFLで女子が出てきたりってないか。
そんなわけ?で、今日はスポーツ・マインドスポーツの女子プロ事情に触れながら、eスポーツの女子プロの未来地図について予測してみようと思います。昨今スポーツ以外では女性の社会進出について制度構築の機運が高まる一方、当事者の女性にとってはロールモデルの少なさゆえに地位向上に二の足を踏むような話を聞きますが、eスポーツではどうでしょうか。

1.リアルスポーツ

改めて触れるまでもないですが、リアルスポーツでは"男子"と"女子"は完全に区分けされています。それが筋力差等を理由とする体格の違いに由来することは、トランスジェンダー選手を女子大会に出場することを禁止する流れが発生し、それなりに支持を受けていることからも明らかと考えます。
ところで男子プロと女子プロの盛り上がり方の差はどうでしょうか。まず個人プロの代表格としてゴルフについて見てみます。2023年の男子プロゴルフのツアー賞金総額は33億5,422万、女子は44億9,000万円。ゴルフについてはトップ選手が海外を主戦場とすること、スター選手の登場による注目度の増減とそれに伴うスポンサーの付き方によって賞金も増減する傾向があり、単年を以て男子女子の差がどうというより、男子も女子も個の才能と結果さえあればちゃんと夢を見られる環境にあると思われます。
一方でチームスポーツはどうか。サッカーのなでしこリーグ、一時期の日本代表の活躍で注目されたタイミングもありますが、今どうなっているかご存じの方はいらっしゃいますでしょうか。そもそもなでしこリーグはアマリーグとなり、トッププロリーグはWEリーグという呼び名となりましたが、それについて知っている方も少ないかと思います。そしてJリーグの優勝賞金は3億円、WEリーグは2,000万円。さらに注目すべきは、WEリーグ参加チームの半分はまだ企業名をチームに付けたままの状態です(つまり親企業からの資金供給がないとチーム運営が厳しい)。バレーボールのVリーグのようにかなり観客動員数の男女差が小さい例もありますが、チームスポーツ全体としては女子が"生涯食っていく"には相当きついというのが現状と言えます。

2.マインドスポーツ

ではマインドスポーツ、体を使わないものであればどうでしょうか。
マインドスポーツの女子プロの代表格といえば、将棋の"女流棋士"を思い浮かべる人がいるかもしれません。しかしながら"女流棋士"は本来の将棋"棋士"とは別制度であり、女性でも"棋士"になることはできます。ただし棋士になるための資格に挑戦した例はあれど今まで女性の"棋士"が誕生していないだけです。

一方の囲碁は仲邑菫さん(プロ入り当時10歳)なんて例もあり、女性が普通に棋士として活躍する世界です。ただし、棋士の採用にあたり女流枠特別採用の制度があります(なお仲邑菫さんは女流枠ではなく英才特別採用推薦棋士、つまり将来性を評価されたプロ入りです)。また普通の公式戦とは別に女流の棋戦も存在します。
日本におけるマインドスポーツのチーム戦の例としては麻雀・Mリーグがあります。Mリーグは制度によってチームが男女混成であることを定められており、その目的は女流プロの底上げであることがチェアマンから名言されています(この制度によって、2023年シーズンは継続契約プロが女性しかいないチームがドラフトで男性を指名することになる"珍事"が発生することになりましたが)。

なお成績面でも女性が男性とそん色ない活躍をしており、例えばMリーグMVP(レギュラーシーズン最多得点)は5シーズン中3回女性が獲得しています。
麻雀界全体としても男女混成タイトルと女流タイトル戦が混在し、こちらも将棋・囲碁と構図は変わらないように見えます。
このようにマインドスポーツの個人プロの世界は制度的にはほぼ男女平等ではありながら、競技の普及を目的としてある程度の女性優遇は是とするようになっています。これについて特に大きな反対の声が挙がっている、男女を分けろとか逆に女子戦を無くせとか、という話も聞いたことがありません。

3.eスポーツ

ではeスポーツはマインドスポーツに準ずるのでしょうか。それともリアルスポーツと同じ構図なのでしょうか。
チーム戦としてのeスポーツプロリーグで女性が参加している例は、少なくとも日本ではほとんど聞いたことがありません(私が常日ごろnoteを投稿している音楽ゲームには反例があるのですが、音楽ゲームについては後日触れるのでこの場では例外としておきます)。一方でトップリーグで参加規程として性別を要件に挙げているものも特に見当たりません。
一方、女性限定の大会もかつては限定的に存在した程度に見えましたが、例えばVALORANT Challengers Japan 2023ではメインの大会に加えて女性限定の大会が行われ、Splitの優勝賞金はメイン200万円に比べて女性限定の大会には50万円を出す等、ゲームタイトルによっては女性プレイヤーに活躍の場を広げるものも出始めています。

ところでeスポーツの女子プロ選手がいないかというと、それなりに人数はいて存在も認知されています。ではeスポーツ競技界でも女子プロの活躍が見込めるようになるでしょうか?私は今のところNOだと考えています。
なぜなら、彼女らのロールモデルである先輩女子プロがほぼ個人でスポンサーを集めており、その収入とストリーマー活動としての収入で生計を立てているから。加えて少し"黒い"ことを言ってしまうと、プロになる目的が最強になることではなくアテンションを集めることであれば、わざわざ厳しいプロリーグに身を置いて日々鍛錬に明け暮れる必要より、ストリーマーとしての生活を選ぶのではないでしょうか。これが男性プロになると、アテンションを集める=最強になる構図になりがちなので、競技シーンへ自然と参入する流れになるのですが。
真剣に上を目指す女性プレイヤーも少なくないとは思いますが、"少なくない"程度の範囲に収まるがゆえ、プロシーンに到達する人口も男性に比べて少数に限られると考えています。

4.終わりに

eスポーツ競技に女性が参加すべきなのか特に性差のない現状で問題なしとするのかは人によってスタンスが違うかと思いますが、eスポーツ界としては競技人口と視聴者を増加させることは大きな課題となっています。いわゆるポリティカルコレクトネストとかの政治的な問題は置いておいて、そうした課題解消の一つの手段として女子プロのあり方について検討することは、スポーツ全体の過去の歴史から見ても悪いことではないようにみえます。

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