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【初めての1人旅セブ島】旅とは出会いだ。

22歳の誕生日を迎える少し前、私は初めて海外へ一人旅に出た。

専門学校を卒業してからの3カ月。
朝から暗い顔ばかりの満員電車に揺られながら、家と会社を往復するだけの毎日に嫌気がさした。

こんなの私の思い描いていた人生じゃない。
そう思って日本から逃げ出したくなった。

なけなしの給料を片手に予算たったの5万円で旅行サイトを見つめ、海があって一番リゾートっぽいという安易な理由で「セブ島」を選んだ。

初めての1人旅。
1人で飛行機に乗ることさえも緊張した。

セントレアから出発のフィリピン航空を利用。
心臓がドキドキしながらも乗った飛行機で、偶然にもセブ島出身の女性Florと席が隣になった。

彼女はちょっとした会話から私が少し英語を話せると分かると、初対面なのに飛行機が出発してから3時間も絶えず会話をした。

私が初めての1人旅で緊張していることを伝えると、1から10までセブ島についての情報や、セブ島旅行で注意することなどを日本人目線で全部教えてくれた。

そして彼女はせっかくセブ島に来たなら良い経験にさせてあげたいからと、私がフリーで開けていた1日を一緒に過ごしてくれることになった。

彼女が初対面の私になぜこんなにも優しくしてくれるのかと疑問だったが、彼女は日本人が自分にいつも優しくしてくれるからそのお返しなんだと教えてくれた。

緊張していた初めての1人旅だったが、滑り出しからこんなにも良い出会いに恵まれるなんて。

この時、泣きそうなくらいの安心と感動をもらい、出会いの大事さをひしひしと感じた。

セントレアから直行便で約4時間半。

実際に降り立ったセブ島という地は、私の想像していたリゾート感あふれる景色とはまるで違っていた。

15秒に1回犬
1分に1回牛
15分に1回とてつもないオフロード
ペーパーの流せないトイレ

日本にいたら考えられない光景に、リゾート地として有名なセブ島といってもフィリピンの一部であることに変わりないのだと悟った。

セブ島に到着してから3日目に飛行機で出会った女性Florと合流した。

彼女はセブ島で日本語学校に通っていたことがあり、日本語学校の先生と仲の良い生徒たちも連れてきてくれた。

おかげで時に英語、時に日本語で会話を楽しむことができ彼らとはすぐに友達になれた。

彼女たちは私1人だったら体験できなかったような、ローカルなセブ島を見せてくれて私のためにたくさんおもてなしをしてくれた。

感謝してもしきれない最高の思い出となった。

そして彼女たちとの会話の中で、セブ島の悲しい現実も教えてもらった。

それはセブ島に住む人の平均月収は2〜3万、そして時給は450円程度だと。

物価は安いけれどその分セブ島に住む人の給料も安い 。
何も知らずに来た旅行者の私にとっては衝撃だった。

衝撃といえばタクシーで移動している時に何度も遭遇した、物乞いするストリート・チルドレンの多さ。

こんなにも貧富の差が激しいのかと衝撃を受けた。

さらには生まれた場所や環境でその後の将来がほとんど決まってしまうことを知り、自分の人生を選択できる私はなんて恵まれているのだと改めて思った。

今でもあの子どもたちのやせ細った体とキラキラした瞳は忘れられない。

私が感じたセブ島の一番の魅力は「人」だ。

初めて出会った日本人の私に好意でおもてなししてくれたように、出会った現地の人々はみんな優しくて暖かかった。

それに店員さんはお客さんがいてもすぐ歌い出すし、大好きな音楽は爆音でかけがち。

そんなPhilipinoの陽気で明るい性格が大好きだった。

出発前はこんなにも充実した旅になるなんて想像もしていなかった。

間違いなくFlorとの出会いがなければ、このようなかけがえのない時間を過ごせなかっただろう。

運なのか縁なのか引き寄せたのか、とてもラッキーだったと思う。
本当に人との出会いで一生忘れられない素晴らしい旅になった。

Florやセブ島の友達とは今でも連絡を取っている。
またあの地を訪れて成長した私の姿で再会したい。

日本から逃げたくてボロボロだった私。
そんな私を癒してくれたのは、セブ島の輝く海ではなく人だった。

良い景色を見て自分自身を見つめ直すだけが旅じゃない。
旅とは出会いだ。

人との出会いだ。
未知との出会いだ。
新しい世界との出会いだ。