『ADDress多拠点生活利用実態レポート2021年版』を一般公開
多拠点コリビンスサービス「ADDress」では、ADDress会員対象に2020年12月14日から2021年1月11日の期間、およびADDress家守対象に2020年12月14日から2021年1月11日と2021年3月2日から同3月7日の期間、それぞれ利用実態に関するアンケートを実施しました。回答率はADDress会員が34%、家守が56%でした。多くの方にご協力をいただき集計したアンケート結果を元に、ADDress社会的インパクト評価調査チームでまとめたレポートを一般公開しました。
コロナ禍で20代〜40代の会社員会員が急増
「多拠点居住」というキーワードがニュースなどでも度々取り上げられるようになった背景として、インターネットとパソコンがあればいつでもどこでも働けるテレワーク環境が普及したことが挙げられます。
会員の年齢層は20代から70代まだ幅広く、職種もさまざまでした。
2019年のサービス開始当初は、30〜40代のフリーランスや個人事業主が多く、会社員はそれほど比重を占めていませんでした。しかし、2020年のコロナ感染拡大による第1次緊急事態宣言後は、東京都心企業のテレワークが急速に広がったことで、会社員会員の入会が急増。特に、単身世帯の20代〜30代の会社員が都心のマンション・アパートを解約してADDressに入会するケースが目立ちました。
「どこでも働ける環境になったので、高い家賃を払って都心の狭い部屋に住み続ける必要がなくなった」「会社に通うこともなくなったら、誰とも会わず、誰とも話さない一人暮らし生活が寂しくなった」
というコロナ禍の生活環境の変化により、「人との交流」や「移動による気分転換」を求めて多拠点生活を始める人は、私たち運営側が想像していた以上に多かったというのが実態です。
利用者は単身世帯ばかりではありません。
実は家族持ちの利用者も、コロナ禍の影響で入会が増えました。例えば、平日にテレワーク利用でADDressを利用するパターン。家だと子どもがいて、仕事に集中することが難しいのが理由です。
また、配偶者が利用するパターンも多く、コロナ禍で夫(妻)も子どもも1日中家にいて、家族の世話をする時間が増えたので息抜きとしてADDressの利用を始めた、という声もありました。
ADDressは家族であれば二親等まで、友人・同僚・恋人など固定パートナーも1名まで無料*で同伴登録が可能のため、「家族も一緒に使える」ことが家族持ち会員の入会動機にも繋がっているようです。
*2022.7.1以降は、ご家族・ご友人合計5名まで追加費用なしでご利用いただけます。(6名以上は追加費用が必要です)
ADDressで新しい仲間が増えたと回答した人も8割を超えました。
中には30名以上「仲良くなった人」ができたと回答した人も。ADDressが自社管理する物件は、コリビングスペース(リビング+コワーキングスペース)があるため、食事時など必然的に顔を合わせるタイミングが生まれます。自己紹介から始まって、これまでの多拠点生活についての話、お気に入りやオススメしたいADDressの家の話など、多拠点生活をしている仲間同士だからこそ会話の弾むトピックスも多いのだと思います。
今回の調査で意外な結果だったのは、「移住検討」についての割合が高かったことです。
多拠点生活を通してお気に入りの地域を見つけて行き来する「リピーター会員」は多いものの、将来的な移住の参考目的である「お試し移住体験」としてADDressを使う人が4割に上りました。
日本の人口構成を見ても、生まれも育ちも都会で、田舎に住んだことのない若者は年々増えています。暮らしたことがなく、頼れる親戚・友人もなく、仕事もできるかわからない田舎に移住するのはハードルが高いです。しかし、ADDressを通して各地で住まいを体験し、各地に仲間ができることで、「自分に合う地方暮らし」が見つけられます。それがゆくゆくは移住に繋がっていくのだと思います。
今回のレポートでは紙面の関係で掲載できませんでしたが、インタビューを通して移住先が決まった会員の話もいくつか聞きました。ADDress生活で千葉県の房総半島が気に入り、地元の人に紹介された空き家を購入。手入れが必要な家のため、時々ADDress会員にも手伝ってもらいながらDIYをして家づくりをされています。完成したら主な住まいとして、この家を中心にADDressでの多拠点生活を続けるそうです。
地域に根差す家守、地域交流を促進する企画も
ADDressは2021年5月時点で、全国160箇所以上に住める家を提供しています。各家には「家守(やもり)」と呼ぶ管理人で地域コミュニティ・マネジャーを配置しており、家ごとに1名もしくは1チームで構成。予約の受付を行う他、家の管理をしたり、会員同士や会員と地域住民を紹介したりしています。
その地域に精通した人がほとんどなので、ほとんどが同じ地域内に長年暮らしている人か、その地域にゆかりがあった人が家守を務めます。
他方で最近は、その地域にゆかりが無かった会員が家守になるケースも増えています。
会員として多拠点生活をするうちに、地域に根ざした活動をする家守に憧れた人。また、特定の地域が好きになったので、多拠点生活から離れて家守として腰を据えたいと考えた人。受け入れられる側から受け入れる側になり、「地域や人を好きになる交流」の要として活動してくれています。
会員との交流では、各地でさまざまな取り組みが行われています。レポートでも紹介していますが、地元の海岸清掃ボランティアを企画し、地域住民と会員に呼びかけて定期的に実施している家守。また、地域交流を促すミッションを達成すると特典が得られる地元の取り組みを紹介する家守。ADDressの家に「マルシェ」を取り入れて、地域の農家が生産した規格外の野菜を販売する家守。地元の農園を借りて、会員とシェアしながら農業を促進する家守など。
レポートでは掲載し切れなかった家守の地域活動も枚挙に暇がないです。まち歩き企画、会員のスキルを生かしたワークショップ、サーフィンや山登りのガイド紹介など、ADDress会員が地域を知り、地域を体験し、地域に溶け込みやすいように工夫されています。
全国各地からいろいろな属性の会員と日々接しているため、時にはトラブルに見舞われることもあります。会員と直接話して解決するケースもあれば、なかなか対面では言いづらく運営側のサポート経由でトラブル解消をするケースもあります。
ADDressに家守は欠かせない存在ですが、先行サービスということもあり、「家守」の立場が理解されにくい側面もあります。例えば、ADDressはホテルやゲストハウスとも一部連携していますが、旅館業を運営しているわけではありません。ですので、何もかも「家守にお世話になる」というスタンスで滞在すると、トラブルの元になります。「やってもらうのが当然」という縦の関係性ではなく、「共に暮らす」という横の関係性なのです。
家守とADDress運営サポートは連携し、オンライン「家守カイギ」を毎月実施しています。家守の取り組みを紹介し合うなど、情報共有の場として機能しています。今後コロナが収束したら、各地域ごとに対面で家守同士が交流できる場を作るなど、家守同士の交流も促進し、地域で結束してフォローし合える仕組みを作って行きたいと思っています。
今回の調査では7割超の家守が「継続したい」と回答し、検討を含めると9割以上が家守継続を考えてくれています。期待に添えられるようなサービスをスタッフ一同、これからも目指していきます。
■ADDress多拠点生活利用実態レポート
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