野球肘

一般的に野球によるスローイング動作、特に投手に頻発するボールを投げすぎることによって生じる肘の障害を野球肘という。

繰り返し投げることにより肘への負荷が過剰となり肘の外側で骨同士がぶつかって、骨・軟骨が剥がれ痛むといったことや肘の内側では靱帯・腱・軟骨が痛み肘の後方でも骨・軟骨が痛むといった病態である。

結果投球時や投球後に肘が痛くなり肘の伸びや曲がりが悪くなり、悪化することにより剥離や骨折を起こすことがある。
野球、テニス、アメフト、ヤリ投げなど、オーバーヘッドスローのスポーツが好発スポーツとして挙げられており好発部位として利き腕の投球肘の内側、外側、後方が多く挙げられている。

よく日本人選手が海外挑戦を試みる際に「メジャーは怪我をしやすいからやめておけ」との声がありますがはたしてそうなのでしょうか。


◆公式球の違い

– サイズ 重さ 縫い目
NPB 約22.9cm 約141.7g 低い
MLB 約23.5cm 約148.8g 高い

NPBでは規定数値の下限をもとに作られるのに対して、MLBでは数値の上限で製造されているので、メジャーのボールの方が大きくなっている。また縫い目に関してもNPBに関しては若干低くまた小さくなっているため変化球の曲がり方に関しても違ってくる。
そしてNPBのボールは表面の革がしっとりとしているのに対して、MLBの革はツルツルしていて滑りやすいという違いもある。
ツーシームに関してMLBの公式球の方がよく曲がると言われているのは一つ一つのバラつきが大きく重心が中央からずれていることや縫い目が高く均一ではないことが要因だと言われている。ただツーシームのように曲がりやすい球種はありますが、カーブは思ったように曲がりにくい傾向にありこのことを理由に2009年岸孝之投手(現東北楽天イーグルス)はWBC日本代表に選出されたが最終的に辞退している。

滑りやすいボールが当たり前のためNPBのボールに慣れた日本人投手とは感覚も違うため投球のメカニズムが狂うということはないのだと思います。
また外国人投手は日本人よりも手が大きいので、その面からも滑りやすいボールの対応がしやすいのかもしれませんが。
こうした違いがあるためNPBからMLBに挑戦する選手や逆にMLBからNPBに来る選手は対応に苦しむことが多いのではないかと思われます。

◆投球

San Francisco Giantsブルペン捕手の植松氏は
欧米の選手はボールを上から投げ下ろし、角度のついたボールを投げてきます。日本人は投げる時に肘を前に出すように教わり、回転をつけて腕がしなる用に前に突き出すように投げます。」(引用元: http://tairauematsu.com/mediainfo/メジャーのボールは滑る?/ %E3%81%A8%E9%80%81%E7%90%83%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E6%8C%87%E6%91%98%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82)と述べている。

また登板間隔についても同じことが言え人間には慣れといったものが存在するため適応には時間がかかることが考えられる。

アメリカスポーツ医学研究所(ASMI)が、「100%全力で投げるタイプ」と「速球派」の投手が肘の靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)につながる負傷のリスクが高まるという調査結果を発表した。スピードガンで表示される「160キロの剛速球」は、今や野球の最大の魅力の一つとなっているが人間がこのような速い球を投げるためには、肘にかなりの無理がかかる。そもそも人間の肘の靱帯はそれだけの衝撃に耐えられるようには出来ておらず、このような運動を繰り返すたび肘の靱帯に小さな断裂が起きる。つまり、人体の構造的にも一定以上の速い球を投げる、速く強く腕を振ることのできる高い運動能力がある選手はいつでもどこでもこの故障と隣り合わせの状態なのである。

◆ジュニア期の酷使

靭帯は一度損傷すると必ずしも完全に正常化するわけではなく成人してから肘痛を発症する選手は、新たに靭帯を痛めたというより、「ジュニア期に痛めた箇所が少しずつ悪化して障害に至ったのではないか」とも考えられる。
骨の端(骨端線)にカルシウムがたまることで硬い骨がつくられ、骨は伸びていく仕組みであるが、成長中である子どもの骨端線柔らかい軟骨でできていてこの付近に投球のときに負担のかかる靭帯が一緒に付いているためこのような柔らかい組織に負担がかかりやすく肘を痛めやすいのである。
また、疲労で自分のポテンシャルが下がっているにもかかわらず相手打者を抑えようとするあまり自分のポテンシャル以上を出そうとすることによって相対的に投球の強度がアップし結果障害をおこしやすくもなる。
野球肘が野手に少なく、全力投球をしなければならない投手に多いのもそのためではないでしょうか。

◆終わりに
公式球の違いや登板間隔などの違いはあれどそれ以上に投球動作であったりジュニア期の酷使によるものが関係してるのではないでしょうか。
野球肘に悩まされる野球選手はNPBのみで活躍してる選手の中にも多く、またプロ野球選手のみならずアマチュアの選手にも多いです。
うまくなるために考えた練習が結果的に障害を招いていないかと考えていくことはとても大切なことで
リスクのあるところはしっかりと対策していくのが大事でありどの段階でも常に必要なことではないでしょうか


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