【連載小説】 Adan #25
はじめてのアルバイト〈6〉
僕はエンジンを切って車から降りた。そして僕はハイドロスイッチをいじくり過ぎて痺れていた右手をいたわりながら、運転席のお母さんと何やら話している聖良ちゃんのもとに駆け寄って、こう言った。
「ローライダーの奴、今日はどうも気が乗らないみたいなんだ。こんな日もあるよね。人間だって飛び跳ねたくない日に飛び跳ねようとは思わないもん。車のくせにわがままだって、僕はそうは思わないね。わがままな自分とは距離を置けって言われているけれど、その距離を置かれたほう