見出し画像

アステカのカカオ 2月14日~365日の香水

アステカ
アステカではカカオは格の高い飲料として、権力者の手にあった。
貨幣として使われたりもしたそうだけれど、この貴重なカカオ豆の価値を入植者たちは最初は理解できていなかったようだ。
ほどなく、砂糖や香辛料と結びついて徐々に栽培地も広がっていく。

グルマンノート、そしてカカオ
この香りの着想はアステカのピラミッドを訪れたときに生まれたという。
バニラなどは香水に用いられる歴史はそれなりにあったけれど、グルマンノートの起点になったのはティエリーミュグレーのエンジェルで1992年のことだ。そこからスイートな香り、スイートだけれど重くない香りの流行が始まる。合成香料カロンを主体にしたマリンノートの隆盛を追撃するような勢いで。2000年代の後半くらいからだろうかカカオビーンズなどが甘さではなく深みやビター感を醸す役割を与えらて、香水のテーマになり始めた。
愛らしく楽しいグルマンノートの世界は、しっとりと深みのあるカカオビーンズを派生させた。

cacao azteque/Perris Monte Carlo/2017
ぺリスモンテカルロはモナコに本社を置く、高級志向、本物志向のブランドだ。名だたる調香師に依頼をしている。
2017年にアステカのカカオをリリースした。
思いの他、ライトなトップノートはペッパー系のスパイスとフローラルのバランスからだろうか。チュベローズやランのトップノートが落ち着くと次第に甘くそしてビターな香調に移行していく。
ゆっくり味わうための香りの変化。

嗜好を纏う
1920年代に葉巻たばこの香りのタバックノートが流行したけれど、この背景には新しい時代の新しい女性の習慣(喫煙)への気持ちの高まりと、公衆の場でたばこを吸うことへの躊躇がせめぎ合った結果だと聞いたことがある。事実はどうかわからないけれど、香りの役割に対する示唆的な話だと私は思う。
粋な嗜好品を香りでまとう、そういうエスプリがこの香りにも効いている。
香りを纏うというよりも、嗜好をまとう感覚だ。
グルマンノートの多くは、包み込むように装うひとに”まとわって”いくけれど、カカオ系をテーマにした香りは一筋の香りの線がゆっくり、立ち上がったいくような感覚だ。その点も、タバックノートと似ている。
共にメソアメリカに産したバニラとカカオは、香水の世界に入り各々グラマラスでスイートな領域と、シックでビターな領域に袂を分かったようだ。

香り、思い、呼吸

2月14日がお誕生の方、記念日の方、おめでとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?